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ZOJIRUSHI

あなたのいつまでも大切にしたいエピソード

入賞作品

優秀賞(入賞)

千羽じゃない千羽鶴静岡県 白玉ほっぺ さま

私が大学一年生の時、実家の母が癌になりました。 都会で一人暮らしを始めたばかりの私は、始まったばかりの大学生活に四苦八苦し、週末には実家に帰るという慌ただしい生活を送っていました。 母の手術の日が近づくにつれ、不安な想いに押しつぶされそうになり、ただただ手術の成功を願いながら、私は千羽鶴を折ることにしました。

授業中にも鶴を折っていた私の様子に気づき、友達が理由を聞いてきたので、詳細には言いませんでしたが、私は母のことを話しました。友達はただ黙って聞いていました。手術の日が翌々日に迫る頃。千羽鶴はまだまだ千羽に到達しておらず、私はひたすら一人部屋で鶴を折っていました。ふと悪い考えばかりがグルグル頭を巡り、涙が溢れて手が震え、ついには鶴を折れなくなってしまいました。

千羽鶴このままではダメだと思い、気分転換しに散歩に出かけ、帰ってきてポストを開けた瞬間。
ポストの中から数え切れないほど沢山の折り鶴が出てきたのです。
いきなりのことで驚きましたが、折り鶴と共に添えられていた紙を目にし、私は先ほどとは違う涙が溢れました。

「1人じゃないよ。お母さんはきっと大丈夫」 母の手術は無事成功しました。 入院中の母のベッド脇には、数は千羽に満たない、だけど千羽鶴以上の力を持った折り鶴が吊るされていました。

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