象印 ZOJIRUSHI

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あゆみ

ステンレス製真空二重びん、ステンレスボトル新発売1981 (昭和56)年

長い魔法瓶の歴史の上で、ステンレスサーモスの出現は革命的な出来事であった。魔法瓶の中びんはガラスというのが当時の常識であった。
中びんにガラスを採用していたのは、単なる伝統だけでなく、保温やコスト面など様々なメリットがあり、ステンレスサーモス発売以前は、ガラス以外の素材でガラスの中びんに代えるという考え自体がなかった。

しかし、魔法瓶の成熟化時代を迎えて新しい展開をはかるため、ガラスにとらわれず、広く新素材による新製品の開発を進めるため、1978(昭和53)年からある酸素メーカーと共同でステンレスサーモスの基礎技術開発に着手した。
従来からガラスの割れるという宿命から脱するため、ステンレスサーモスの考え方があり、アメリカから2〜3の商品も輸入されていたが、ガラス魔法瓶が2500〜3000円くらいのとき、15000〜16000円もしたので普及しなかった。当社がこれをつくることは、ガラス魔法瓶の足を引っ張るので、ガラス魔法瓶が当社の主力製品である間は、実際の開発は見送りとなっていた。

当社がステンレスサーモスの基礎技術開発に着手して間もない1978(昭和53)年11月、オールステンレス製真空二重構造魔法瓶が、ある国内メーカーからガラス魔法瓶の2倍くらいの値段で発売された。
魔法瓶メーカーである象印が、これを見過ごすわけにはいかない。そこで市川社長は、「二番手であるならばもっといいもの、日本一のステンレスサーモスを作れ」と研究の推進を命じた。酸素メーカーとの提携を打ち切り、独自技術によることも命じた。トップ方針として、「ガラス魔法瓶よりすぐれた性能をもつステンレスサーモスでなくてはならない」を掲げ、ガラス魔法瓶自社加工の技術、魔法瓶で培った真空技術などの自信と信念をもって開発を進めた。

開発には約2年半の歳月を要し、1981(昭和56)年に商品化に成功、同年8月、新製品発表会においてステンレスサーモス「タフボーイSTA900」として発表され、その高性能、デザインの良さで一躍人気商品に躍り出た。その後もステンレスサーモスはそのレンジを拡大し、主力製品の一角を占めるようになった。

ステンレスサーモス用「ベーキング炉」に火入れを行う市川重幸社長
ステンレスサーモス
「タフボーイ」