象印 ZOJIRUSHI

わが家の自慢料理

第20回 象印 わが家の自慢料理コンテスト入賞作品

優秀賞
我が家の100年すいとん
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我が家の100年すいとん
作者:浅川 様

材料(4人分)
作り方

応募料理にまつわるエピソード

我が家の「すいとん」のルーツは、大正の終わり頃、約100年前にあります。この頃所帯を持った祖母が、その後の食糧難の戦中戦後を通じて一番多く作ったというそれは、スープは湯に醤油少々を加えただけ、具はねぎと粉臭いかちかちの小麦粉だんごのみという究極に質素な一品でした。私も祖母が元気だった頃に何度か食べましたが、大人達が大喜びしている反面、私には少しも美味しく感じられませんでした。
その後、母が料理の主導権を握ってからは、この「すいとん」は、大きく進化しました。スープはダシが効き、具も鶏肉とねぎだけではなく、人参や小松菜、しいたけなどの様々な野菜が入り、小麦粉だんごも柔らかく粉臭くなくなって格段においしさがアップしたのです。
それから15年後、私は結婚し、夫の仕事で数年間オースラトリアで暮らしました。その日々の中、旅した田舎町の小さな食堂で食べた「カントリー ダンプリング スープ」これがまさかのオーストラリアでの「すいとん」との再会でした。
その味も形状も私が日本で慣れ親しんできた「すいとん」を彷彿とさせるものがあり、拙い英語で店主にレシピを聞き出した私は、試行錯誤しながらやっと「当たらずと言えども遠からず」のものを作り上げることが出来ました。そしてそれは、「郷愁を誘われる」とのことで、日本の友人たちに大人気の一品 となりました。
それから更に30年。材料や味付けは少し変わりましたが、(使用するほとんどの野菜は家庭菜園で収穫したもの、使用するビールはオーストラリア仕込みの夫の手造り)私は今も冬になると家族のリクエストで「すいとん」を作ります。
平成も終わろうとしている現在、祖母からはじまった我が家の「すいとん」は、味や形態の変化を重ねながら100年を越えて伝わってきました。そして今後も我が家一番の自慢の味として長く伝えていきたいと思っています。