親が高齢になり、介護が必要となったとき、仕事を続けながら介護をするのか、あるいは介護のために離職するのか、多くの人がこの難しい選択に直面します。親のことを考えて介護離職を視野に入れて、悩んでいる方も少なくありません。
しかし、働き手として社会で活躍している方が、働けるにも関わらず仕事を辞めてしまうと社会や個人にとってもマイナスな影響を及ぼします。そんな介護離職を防ぎ、仕事と介護を両立するための方法があります。その一つが高齢者見守りサービスの利用です。
本記事では、介護離職の問題点について触れ、その解決策、中でも高齢者見守りサービスについて詳しく解説した上で、見守りサービスの導入を考えている人にとって、おすすめの製品についてご紹介していきます。
介護離職の問題と支援策
介護離職の現状と課題
介護離職とは、家族などの介護を理由として、介護者が仕事を辞めることを指します。総務省の調査によると、年間10万人以上が介護離職をしており、その数は年々増加傾向にあります。この問題は、個人だけでなく社会全体に大きな影響を及ぼします。
まず、介護離職によって家庭の収入が減少し、経済的な困窮に陥るリスクが高まります。また、介護離職を選んだ人々の多くは、孤立感を深めることが少なくありません。
介護離職は、働き手が職場から離れることで企業の生産性にも影響を及ぼし、さらに日本全体の経済にもマイナスの影響を与えています。社会全体でこの問題に取り組む必要がありますが、個々の家庭でも効果的な対策を講じることが求められています。
介護離職を防ぐための支援策
介護離職を防ぐためには、仕事と介護の両立を支援する制度を活用することが重要です。代表的な支援策として、介護休業、介護休暇、所定外労働の制限などがあります。
※企業により制度は異なりますので、一度関係部内にご相談下さい。
介護休業
介護休業は、家族の介護のために長期の休みを取得できる制度です。勤務先に申し出ることで、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として取得できます。雇用保険の被保険者であれば、期間中に休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。介護休業は、介護そのものだけでなく、今後の介護体制を整えるための期間としても活用することができます。
介護休暇
介護休暇は、要介護状態にある家族の突発的・短期的な介護のために、年に数日間の休みを取得できる制度です。対象家族が1人であれば年に5日、2人以上であれば年に10日まで、1日単位または半日単位で取得できます。口頭での申請が可能であり、急な対応が必要な場合にも柔軟に利用できます。
所定外労働の制限
所定外労働の制限とは、所定外労働(残業)を免除する制度です。労働者が要介護状態にある家族を介護するために申請した場合、会社は所定外労働を免除しなければなりません。また、残業を制限する「時間外労働の制限」もあります。この制度を利用することで、労働者は家庭と仕事の両立を図りやすくなります。
ただし、これらの制度には例外があり、事業の運営に支障が出ると事業者が判断した場合、制度の利用申請を断ることが可能です。制度を利用する前には、関係者としっかりと確認を取っておくことが重要です。
高齢者見守りサービスを使った介護離職を防ぐための戦略
ただ、上記のような支援策があるにもかかわらず、利用をためらう、または現実には制度を利用することが難しい人も少なくありません。例えば、職場の雰囲気や同僚への負担を考えて制度を利用しにくい場合、あるいは制度の利用申請を断わられた場合などです。このような状況にある人々にとって、見守りサービスは非常に有効な解決策となります。
見守りサービスの重要性
高齢者見守りサービスは、離れて住む家族に代わって高齢者の様子を見守るためのサービスです。これにより、家族が安心して仕事に集中できる環境が整います。見守りサービスの利用は、介護離職を防ぐための重要な戦略の一つです。
見守りサービスの導入効果
見守りサービスを導入することで、離れて暮らす家族も安心感を得られ、高齢者自身も安心して日常生活を送ることができます。また、見守りサービスを利用することで、家族が仕事を休む必要や労働時間を制限する必要がなくなり、仕事と介護の両立がしやすくなります。
国が提唱している「ワークライフバランス」の実現にもつながります。これにより、介護離職のリスクを減らすことができます。
見守りサービスの種類
そんな見守りサービスにはさまざまな種類があります
ここでは、以下の6種類について解説します。
種類 |
メリット |
デメリット |
訪問/配達サービス |
高齢者の顔を直接見て確認できる。コミュニケーションが取れる。 |
訪問日が決まっているため、毎日の安否確認が難しい。緊急時の対応が難しい。 |
電話サービス |
対面が苦手な高齢者にも受け入れやすい。 |
高齢者の表情が見えないため、詳細な状況を把握しにくい。耳が遠い高齢者には不向き。 |
アプリサービス |
比較的手軽に利用できる。無料や安価なものが多い。 |
スマホを持っていない高齢者や機械の操作が苦手な高齢者には不向き。 |
カメラサービス |
映像で状況を確認できるため、リアルタイムでの把握が可能。 |
監視されているという印象を持たれることがあり、導入には高齢者の同意が必要。 |
センサーサービス |
監視されている印象を与えずに利用できる。 |
リアルタイムでの状況確認が難しく、緊急時の対応に限界がある。 |
緊急通報サービス |
緊急時に迅速な対応が可能。セキュリティ会社のサポートがあるため安心。 |
毎日の見守りには不向き。高齢者が意識を失った場合、操作ができない可能性がある。 |
訪問/配達サービス
訪問サービスは、専門スタッフが高齢者の自宅を訪問し、直接顔を合わせて状況を確認するものです。訪問日が決まっているため、定期的な見守りが可能ですが、毎日の安否確認には不向きです。また、スタッフが介護・医療の専門家でない場合もあるため、緊急時の対応には限界があります。
配達サービスは、お弁当や買い物の品を高齢者の自宅に届けることで生活状況を確認するものです。宅配業者や市区町村の福祉サービスとして提供されており、高齢者の顔を見ながら状況を把握できるメリットがあります。しかし、訪問サービスと同様に、緊急時には対応が難しい場合があります。
電話サービス
電話サービスは、サービス提供者が定期的に電話をかけて高齢者の安否を確認するものです。対面が苦手な高齢者にも受け入れやすく、比較的手軽に利用できる点が特徴です。しかし、電話では高齢者の表情が見えないため、詳細な状況を把握しにくいというデメリットがあります。
アプリサービス
アプリサービスは、高齢者と家族がスマホにアプリをインストールし、アラームやメッセージ機能を使って見守りを行うものです。手軽に利用できる反面、スマホを持っていない高齢者や機械の操作が苦手な高齢者には不向きです。また、外出時にスマホを忘れてしまうと、体調急変などの情報が家族に伝わらない可能性もあります。
カメラサービス
カメラサービスは、高齢者宅にカメラを設置し、離れて住む家族がリアルタイムで状況を確認できるものです。映像で状況を把握できるため、安心感が高まりますが、監視されているという印象を持たれることがあり、導入には高齢者の同意が必要です。
センサーサービス
センサーサービスは、高齢者宅に人感センサーやセンサー内蔵の家電を設置し、一定時間動きや操作がない場合などに家族に連絡が届くものです。カメラとは違い、監視されている印象を与えにくい一方、
リアルタイムでの状況確認が難しいため、緊急時の対応には限界があります。
緊急通報サービス
緊急通報サービスは、警備会社が提供するもので、緊急時にペンダントやタブレットのボタンを押すことで専門スタッフが駆けつけるものです。緊急対応に優れており安心感がありますが、
毎日の見守りには不向きです。また、高齢者が意識を失った場合、操作ができない可能性があります。
選び方のポイント
見守りサービスには多くの種類がありますが、親や子どもの状況に適したものを選ばなければ、その効果を十分に発揮できないことがあります。場合によっては、逆に不都合が生じることもあります。ここでは、見守りサービスを選ぶ際に重要な3つのポイントをご紹介します。
見守りサービスを選ぶ際には、親の意見を尊重することが重要です。親が拒否する可能性もあるため、まずは親の思いを聞き、サービスの必要性を理解してもらうことが大切です。
高齢者が操作する必要がある場合は、簡単に操作できるものを選ぶことが重要です。親の操作が不要なサービスや、家族側で設定できるものを選ぶと良いでしょう。
見守りサービスの利用には料金が発生します。親子で話し合い、誰が料金を負担するか、いくらまでなら支払えるかを考慮して選びましょう。
初めての見守りサービスとしてのセンサータイプ
初めて見守りサービスを利用する場合、センサータイプが特におすすめです。その理由は、以下の通りです。
センサータイプのサービスは、高齢者の日常生活に溶け込む形で見守りを行うため、監視されているという印象を与えにくいです。高齢者が自然に過ごす中で見守りができる点が特徴です。
センサータイプのサービスは、設置が簡単で、特別なスキルや工事が不要です。家族が簡単に設定できます。
センサータイプは、家電製品に組み込まれているものや、人感センサーを使ったものなど、さまざまな種類があります。高齢者の生活スタイルに合わせて選ぶことができます。
センサータイプの中でもおすすめな象印の見守りサービス:「みまもりほっとライン」
象印の「みまもりほっとライン」は、通信機能を持った電気ポットを利用した見守りサービスです。このサービスは、離れて暮らす親の生活を自然な形で見守ることができ、高齢者に違和感を与えることなく家族が安心して安否を確認できる点で優れています。サービス開始から20年以上の実績があり、14,000人以上の利用者がいる信頼性の高いサービスです。(2023年9月25日現在)
他のセンサータイプの見守りサービスと比べて下記の点で優れています。
通信機能を持った電気ポットを利用するため、日常的に使用する家電を通じて見守りができます。高齢者にとっても違和感なく利用でき、家族も高齢者の安否を確認できます。
象印の「みまもりほっとライン」は、オンラインストアで会員登録し、初期費用(5,500 円税込)を支払うだけで利用を開始できます。初月は無料で利用でき、その間にしっくりこなくてキャンセルの場合は、初期費用は返金してもらえます。その後は月額料金(ポット利用料、通信費用込み3,300円税込)が発生します。特別な設定は必要なく、簡単にサービスを開始できます。
サービス開始から20年以上の実績があり、現在までに14,000人以上の利用者がいます。ユーザーからの評判も良く、安心して利用できるサービスです。
最大3人まで同時に通知することができ、家族やケアマネージャーも利用可能です。
「空だき」も通知してくれるので認知症の兆しにもなり、早期に手が打てます。
利用方法とユーザーの声
ユーザーからは「毎日電話するのは大変だが、ポットを使うことで安心できる」「監視されている感じがなく、自然に見守れるのが良い」「ポットを通じて親の生活リズムを知ることができ、親子の会話も増えた」などの声が寄せられており、安心感と生活の質の向上が評価されています。