象印 ZOJIRUSHI

わが家の自慢料理

第14回 象印・わが家の自慢料理コンテスト 入賞作品
第14回「象印・わが家の自慢料理コンテスト」、料理研究家の土井善晴氏の厳正な審査の結果、「最優秀賞」(1点)をはじめ、「優秀賞」(1点)、「入賞」(5点)、「特別賞」(1点)が決定しましたのでご紹介いたします。
土井先生 総評

象印のわが家の自慢料理は、創作料理的な方向から地に足のついたお料理を大切に守られている料理がほとんどです。地球規模の変化の時代のなかで、何も言葉で教わらなくても、人は感じるものなのでしょう。そういった正しい直感力を失わないということはその背景に、しっかりした暮らしぶりがあるからです。揺るぎない確かな生活を送ることが、人生をゆたかに、そして人を幸せにするものと信じています。こうした料理コンテストを通じて、日本の未来を少しでも温かい心にする今を確かめて、育て、伝えていきたいと思います。

象印賞-最優秀賞
1点
賞品:象印圧力IH炊飯ジャー 南部鉄器極め羽釜
(NP-ST10)+商品券10万円

イカのお好み焼き風ハンバーグ風
イカのお好み焼き風ハンバーグ風
作者 茂木 様
コメント

主人の大好きなイカ釣り、始めてから3年目ようやくコツをつかめたらしく大きなアオリイカを持って帰ってくることが多くなりました。
嬉しいのですが、沢山のイカを美味しくいただく調理法に四苦八苦。炒め物、干物、刺身以外にももっと美味しく簡単な調理でいただけないかと考えた料理が「イカハンバーグ」です。
フードプロセッサーにかけ、フライパンで焼くだけの簡単料理です。出来立てアツアツはふわふわとした生地の中にエンペラやゲソのコリコリ食感、紅ショウガ、青のり、ねぎが味のアクセントになり美味しくできました。イカと相性がよい濃厚なお好み焼きソースをかけてお好み風にしてみました。
主人の趣味はイカの美味しさを知り料理のレパートリーを増やすだけでなく、苦手だった魚介類の下処理を克服することができて一石二鳥です。
これからも主人の釣果で私の料理の幅も広がりそうです。


土井先生のコメント
とても魅力的なお料理です。お書きになっているようにイカ焼きという親しみのある料理がありますから、おいしさのイメージ掴みやすいですね。このイカ焼きも冷凍じゃない生のするめいかを使うと驚くほどおいしくなるものです。ご自身でつられたアオリイカでお好み焼きとは、じつに食べてみたい。材料もつなぎの玉子だけ。ごまかしが無くて素材に対する信頼が伝わってきます。ソースもお好みのソースでと気取りがない。きっと私の想像をこえておいしいのだと思います。
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優秀賞
1点
賞品:象印圧力IH炊飯ジャー(NP-BA10)+賞金3万円

作品名:たらごぼう
たらごぼう
作者 下村 様
コメント

結婚した年のお盆に義父の実家に出かけました。
本家のおばさんは「たらごぼう」を作って迎えてくれました。
おばさんの特製たらごぼうは、夫の大好物。温かく私たち新婚夫婦を迎えてくれたのでしょう。
料理が大好きな私は、初対面なのに、まるで以前から知り合いだったみたいに緊張もせず、作り方を教えてもらいました。計量カップもスプーンもない、「このくらい。ひとつまみ」の連発。
わかったようで、わからなかったようで!それから、31年。
今でも試行錯誤しながら作っています。教えてくれたおばさんも102歳の昨年亡くなりました。
夫が最後にお見舞いに行ったとき、帰る矢先、夫に「眞理子さんによろしく」と。
それを聞いて涙しました。目を細くして、温かい笑顔でおばさんに教わったたらごぼうですが、「だいぶ、近づいた」と夫はおだててくれます。それをはげみにさらに「あの時の味」に近づきたい。
将来、息子の嫁さんにも伝えたいと希望を秘めています。


土井先生のコメント
おかあさまからお料理を教わったと、家庭料理の継承される様子が伝わってきます。そこにはただ、お料理を伝える以上に、愛情や信頼・・。大切なものがたくさん含まれているのが分かります。幸せは結果としてのお料理以上に、お料理をつくるという時間の中に実はあるのだということですね。子供たちもご主人もほんとうに幸せだと思います。大切になさって下さい。
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入賞
5点
賞品:象印電気ケトル(CK-TA08)+賞金1万円

作品名:ハチハイ
ハチハイ
作者 渡会 様
コメント

江戸・元禄時代から続いている我が家伝統の味。
『ハチハイ』という奇妙な名前は、あまりの美味さにご飯を八杯お代わり出来るからだという。
大晦日、我が家では年越し蕎麦の代わりに、この見栄えが悪く、泥臭い田舎料理を食すのが慣らいで、これだけは妻に任せず、私自らが厨房に立つ。
「なぜ蕎麦ではダメなの?」と不満気な妻を無視して、四十年。
私はこの無様な料理を箸でつつきながら、先祖の顔を思い浮かべ、故郷の風を感じる。
すっかり没落してしまったが、戦前までは大地主であったという家系。
都の雅さとは無縁の、このごった煮が累代の先祖達にとっては自慢すべき、最高のご馳走だったのだろうと思うと、何だか切なくもなる。
まったくもって、花より団子の——味だけは抜群だが、他人様には見られたくない大晦日の料理。
けれど、『ハチハイ』は私にとって絶対絶やしたくない、先祖との絆を確かめる味であり、また、江戸時代への舌によるタイムスリップとも言える。
ちなみに、その田舎臭さが妻に対してすら恥ずかしくて今は鮭の切り身にしているが、昔は鯖を一匹丸ごと放り込んだという。


土井先生のコメント

なによりも家の伝統をまもり続けようという心に敬服いたします。お料理そのもののおいしさも、ご懸念なさっている見栄えも悪いものではありません。このような煮物は全国のおせち料理に残されています。それが筑前煮でもありますが、とくに薄味で煮た大和煮というのがよく似ています。具にちくわはいていますが、こういった魚の加工品は贈答品となっているように古くはたいへん貴重なもの。鯖も貴重なものだっだでしょう。今となっては鮭の方があつかいやすく食べやすいと思いますが、鯖が丸ごと入ったハチハイを味わってみたいものだと思います。家族の無形文化遺産です。これからも長くつくりつづけていただきたいものです。

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作品名:ピリ辛!山椒香る鯖の糠炊き
ピリ辛!山椒香る鯖の糠炊き
作者 原田 様
コメント

蓋を開けると台所中に広がる爽やかな山椒の香り、それは子供の頃から大好きな糠床の香りです。
「香りと味を良くするけん山椒ば入れなさい」「糠床が緩くなったら昆布ば入れるとよ。
水気を吸いながら旨味が移るけん。昆布は美味しいちゃけん、捨てたらいかんよ!」
と母は糠床をかき混ぜながら、傍らで糠漬けをつまみ食いしている私に話していました。
母が糠漬け作りを覚えた小倉は糠漬けの本場といわれ、糠を使った『鯖の糠炊き』という料理があります。
「糠で煮る?」と驚かれますが、鯖の生臭さが消え、糠床の風味でとても美味しい煮魚ができます。
各家庭によって少しずつ特徴のある糠床なので、糠炊きにもその個性が表れます。
結婚後、作り始めた糠漬けは、すっかりわが家に無くてはならないお漬物になりました。
そして私の糠炊きは、母親譲りの山椒の香る糠床にコチュジャンをプラスした少しピリ辛味噌風味、家族の大好きな定番の煮魚です。


土井先生のコメント
糠床を大切になさっているからこそできるお料理ですね。おいしい糠床を長く続けられるのは、技術や知識ではなくて,確かな暮らしがあるからです。糠床のなかで微生物が働いて、旨味やビタミンを産生しますから、それは人間業ではないのです。まずは、糠のおいしさストレートの美味しさでいただきたいです。大切になさって下さい。ここでは流行のピリ辛味はいらないと私は思います。
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作品名:大根の炊いたんの豚肉巻天ぷらゆずあんかけ
大根の炊いたんの豚肉巻天ぷらゆずあんかけ
作者 羽場 様
コメント

うちの実家では、私がこどものころから、庭の畑で野菜をたくさん作ってました。
夏にはきゅうり、とまと、なす、冬には白菜、大根が毎日食卓に並びました。
しかし、正直育ち盛りの男子にとっては野菜中心の食卓はそんなにうれしいものではありませんでした。
私の兄弟は男ばかりの3兄弟でした。育ち盛りのこどもたちのために、料理上手の母親は大量の野菜を子供が満足するようなメニューに変身させてくれました。
そんな母親の冬の定番メニューがやわらかく炊いた大根を豚肉で巻いて揚げてくれたものです。
見た目にもボリューム満点の天ぷらからは豚肉の中からだしをたっぷり吸った大根からじゅーっとだしがあふれ出る、ほんとにおいしいおかずです。
私は、就職してから実家を離れることになりましたが、毎月のように実家から野菜を送ってもらっています。
そして、冬にはその大根を使ってこの天ぷらも揚げます。こどもたちも大好きな我が家の定番おかずとなっています。


土井先生のコメント
冬大根を大きなお鍋で煮た大根炊きをとてもおいしいものですね。冷めても温かい部屋ではまた、おいしいものです。柔らかく煮えた大根をひとつの食材と考えれば、多様に調理できますね。初めて食べる人にとっては、予想に反した大根の柔らかさやジューシーさに驚かれると想像します。
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作品名:ほっくほくマッシュポテトの和風シェパーズ・パイ
ほっくほくマッシュポテトの和風シェパーズ・パイ
作者 野崎 様
コメント

イギリス料理のシャパーズ・パイをイメージしながら、鶏の照り焼きで作りました。
ポテトの焼ける香りも良く♪甘辛〜い照り焼きのタレがマッシュポテトと相性抜群★
ロンドンオリンピックの時期に、娘の離乳食の取り分けも出来るようにと思いながら作ったのがきっかけでした。
ポテトが大好きな娘はご満悦菜様子♪主人にも好評でした。
ボリューム満点でご飯がすすむ最高の美味しさです(*^^*)


土井先生のコメント

イギリスに留学されていたのでしょうか。長く生活されていたのでしょうね。日本の調味量で素直にアレンジされているのは、肩の力が抜けていてとても良いと思います。アレンジのしかたにその人のセンスが現れるものです。このようにシンプルなお料理は家族もなにより安心できますね。

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作品名:かに玉風手毬ハンバーグ
かに玉風手毬ハンバーグ
作者 今村 様
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私の料理の原点はやはり母の味です。
母のお料理ですごいなぁいつも楽しみにしていたのは卵料理でした。
毎日必ずお弁当に入っているふわふわの卵焼き、ちらし寿司や混ぜごはんにのっている鮮やかな錦糸卵、きれいな薄焼き卵に包まれたわくわくするようなお料理、そんなお料理はいつも私を元気づけてくれていました。
だから私も母のような卵料理が作れるようになりたいとずっと思っていました。
今年のお正月、母と一緒に台所にたったときに、今までそんな話はしたことがなかったのですが「卵料理が上手になったね。」と母が私にさらっと言いました。
合格点をもらったようでとてもうれしく、これからも自分の家族に伝えていきたい味だなと思いました。
私には、2歳の息子がいますが、私の息子は未熟児で生まれました。
思いもよらぬ出産をしてから私はいろんな不安で涙ばかり。それまでずっと前向きに生活してきたのにとっても心細くなり、悲観的な自分がいました。
息子は体が弱く、次から次にでてくることは心配の連続でした。
そんなときに主人はいつも笑顔で前向きにこの2年支えてくれました。
2歳になってちょっとずつ体も強くなってきたころ、私もようやく母としていろいろと前向きに考えることができるようになってきました。
そのきっかけを与えてくれたのが料理です。昔からお料理が大好きでしたが、ただただ息子のことで頭がいっぱいで、毎日の料理に余裕がない毎日でした。
ある日、よし!家族を明るくする料理を作っていこう!と決めた日から、私の生活は変わりました!
料理は主人に対する恩返しでもあり、子育てに対する考えも、自分自身のことも、前向きになっていきました。食卓に出てきたときに、みんながわぁ!とうれしくなるようなお料理作りをしていきたいと思い、このお料理を考えました。天津飯のようなシューマイのようなハンバーグのようなかに玉のようなわくわくごはんにぴったりの1品です。


土井先生のコメント
毎日のお料理でこのように飾る必要はありませんが、特別な日、たとえばひな祭りや女の子のお祝いの日には、改まってよいですね。日常的な暮らしのお料理とお祝いや行事がきちんと区別されていて、生活のメリ、ハリを付けられているところが良いと思います。ハレとケの区別がある生活は、きちんとけじめのつけられる大人を作ります。大切になさって下さい。
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特別賞
1点
賞品:象印ホームベーカリー(BB-KW10)

作品名:さんまの松風焼き我が家風
さんまの松風焼き我が家風
作者 浅川 様
コメント

現在大学4年生の息子は、震災前は岩手県大船渡市で魚の勉強をしていました。
しかし、震災により研究施設の被害がひどく大船渡市のキャンパスは閉鎖され、現在海のない相模原市で勉強を続けています。
彼が現地にいた頃は、秋になると、名物のさんまが始終送られてきて、正直なところ食傷気味になることもしばしばでした。
そこで、考えついたのがこの一品です。「お惣菜感覚」の一品として多量に作っては宅配便で息子に送っていました。
それは息子だけでは到底食べられない量であったため、彼が友人や先生にもおすそ分けしたところ、
とても評判がよかったとのことでした。
特に、ごはんにはとても合うとのことで、それ以来、この一品は息子に送る「惣菜」としてではなく、
「我が家のお気に入りの一品」として定着しました。
因みに現在息子は、被災地の魚についての研究をしているため、ひと月の1/3は現地で過ごす生活をしており、
昨年秋には一年ぶりのさんまラッシュを味わうことができ、この料理も数回作ることになりました。
そして、なんと!このお正月のおせち料理の一品にも取り入れ、友人知人から大好評を得ました。


土井先生のコメント
さんまをベースにお肉を入れて食べやすく作られています。日本料理らしくきちんと火を入れているからこそ、おせち料理の1品にもできるのです。素材の味が強くて充分に旨味がありますから、味付けが少々複雑になりすぎていると思いました。原型の美味しさを作るためにも必要最小限の食材で作ってみて下さい。もしかしたら、もっと美味しくなるかもしれません。
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