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第10回『わが家の自慢料理コンテスト』の表彰式当日(H21.4.23)、バルセロナオリンピックシンクロナイズドスイミング銅メダリストの奥野史子さんをゲストに迎え、「食育から見た食とスポーツ」と題して土井善晴委員長との記念対談を行いましたので、ご紹介いたします。 |
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「食育から見た食とスポーツ」 司会:本日は、土井先生との対談のゲストにバルセロナオリンピックシンクロナイズドスイミング銅メダリストの奥野史子さんにお越しいただきました。 奥野:こんにちは。よろしくお願いします。 司会:奥野さんは元トップアスリートとしてご活躍されたということは、ご存じだと思いますが。土井先生も実はマラソンをされてらっしゃって、先日の東京マラソンも完走されたそうですね。 土井:皆さんが想像しているようなものじゃないですよ。トップアスリートの後ろのほうからドタドタ走っているのは、違うことをやっていると思っておいてください。
司会:奥野さんは、お二人のお子様と一緒にスポーツをしたりということもありますか。 奥野:子どもとは泳いだり、あと、パパと一緒に走りに行ったりとか。走るといっても、トラックをぐるぐる回るとかではなくて。散歩がてら、ちょっと走ってみる程度です。 アマチュアスポーツマンは、現地にあるものをその場で調達して食べなきゃいけない! 司会:ご主人のお話も出たのですが、トップアスリートでいらっしゃる、皆さんもご存じだと思いますが。食に関して、あまり意識が強くないと伺いましたが? 奥野:私たちみたいなアマチュアスポーツマンは、基本的に、遠征に行っても調理師も付いてこないですし、現地にあるものを、その場で調達できるものの中から、自分で、そのときに必要なものを選んで食べなきゃいけないんですよね。 司会:なるほど。 奥野:例えばイタリアに行きました。白いご飯がありません。それを食べないと走れないかと言ってられないので、何も掛かってないパスタに、ちょっとチーズを振って食べるとか。それなりに自分の中でどういうふうな炭水化物の取り方をするとか、そのときに自分の体に必要なものというのを、自分の体で感じて選んでいくということをしているので、家でも、そんなに「絶対にあれを作ってくれ」とか、「タンパク質を今の時期は何グラム」みたいなことは全然言われなくて。 司会:そうですか。 奥野:トップアスリートって、お肉をガツガツ食べてるイメージがあると思うんですけど。基本的には、そんなにこってりした肉はあまり食べてなくて。どちらかというと、お魚生活ですね、うちは。そのときにおいしいもの、旬のものだとか、普通にお魚とご飯とおばんざいがあったら、もう、それでよしみたいな感じです。
奥野:京都なんです。 土井:京都の人というのは、季節になったからこれを食べよう、みたいな気分がずっと残ってるんですよ。だから、雑誌を見て何か食べに行こうとか、トレンドがどうだからとか、テレビで見たから、じゃなくて、季節になったから「鮎、食べたいなあ」とか、「ハモは食べとかなあかんよ」ぐらいのことは思われるのと違うかな。それが、もう暮らしの中に入ってしまっているから。 奥野:そうですね。今だったら山菜とか、フキとか食べたらええやん、みたいな。 土井:自然にそういうような、日本の風習が残っているのは、確かに京都や関西のほうがあるかもしれないですね。 おいしいのができる条件は家の方があるんですよ!! 司会:ご主人は、奥野さんが作られた料理は、喜んで召し上がるといった感じですか。 奥野:そうですね。でも、基本的には「おいしい」とか、言わないですね。おいしいとか、まずいとか言わないですけど、すべて、大体、完食しますね。 土井:ご飯を食べるときは何の話をするんですか。 奥野:ご飯を食べるときは、子ども中心なので、子どもの今日あったこととか、そういう話になってしまうじゃないですか。
奥野:うわ、そんなことを言われたら、頑張りますよ、もう。 土井:自宅で、湯豆腐や素麺なんてするでしょう。そのときに、素麺だしとか、湯豆腐のおだしというのは、カツオと昆布と、それでお醤油と味りんとかを入れて、煮えたてを食べるんですよ。そうするとカツオと昆布の香りがすごくよくて。変な話、お料理屋さんで食べるよりも、出来たてだから絶対おいしいんですよ。 彼女が作るのは全く私のレシピで作るんですけども、作ってくれたら、「何や、これ、どないして作ったん?」って、私が言うくらいにおいしいのができる条件は家の方があるんですよ。本当ですよ。 “食育”は教えられるものじゃなくて、感じ取りながら、子どもたちが大きくなっていく! 司会:本日のテーマは「食育」ですが、奥野さんはお子様にお料理を作る際に何か気にされていることはありますか? 奥野:子どもは、大人以上に、見た目が気に入らなかったら、もう、そこから食事しないという雰囲気になってしまいますよね。そのテーブルの雰囲気だったり、家族がそろっているかどうかということとか。もちろん、食べ物の中身は安心で安全なもので作ってあげるというのは基本だと思います。ちゃんとだしを取ってとか、味も子どもに食べやすい味つけだとか、そういうことは気を付けています。それ以上に、やっぱり家族はそろって食べたいなというところをまず気にしています。 司会:他にもありますか? 奥野:あと自分自身の体験として、海外遠征から帰ってきて何が食べたいかと言ったら、母が作ったおからを炊いたのとか、こんにゃくを炊いたのとか、ひじきとか、そんなのが食べたかったんですよ。だから、子どもたちにも、お母さん、こんなことしてくれた、こんな味だったっていうのを残してあげたいという思いが、すごくあります。ただ、「お母さんの味」っていうのが、なくなりつつありますよね。だけど私は、お母さんって、どんな味をつくってくれる?みたいなのがあったらいいなって。それを目指して頑張っています。 土井:あらためて「食育」というようなことを何か伝えようとしなくても、今の奥野さんの話はまさに、暮らしそのものだね。その中から、教えられるものじゃなくて、感じ取りながら、子どもたちが大きくなっていくというのはよく分かりますよね。
土井:そうですね。食育、食育と言っても、お母さんが作ってくれた料理を両親がおいしそうにきれいに食べていたら、それで言うことないですよ。これはもう食育は必要ないんですよ。でも、両親共に仕事をされていたりして、やろうと思ってもできない人が大勢いるわけだから、そのときにやっぱり意識して食育として何かそういう日を作ったり、そういう教育も必要なのかもしれませんね。 子どもは親がやっていることを見て学ぶ! 司会:土井先生はお父様も家庭料理の第一人者でいらっしゃいますが、何かお父様から、そういった観点で教わったことや覚えていることなどは。 土井:料理、仕事に対する厳しさですよね。だから、お料理は簡単にできないものというふうにずっと思っていたんですよ。だから、怖さを知っていたんですよ。
土井:ありがとうございます。 |