NARA奈良
菅本香菜さんと象印メンバーが各地をたずねるコラボレーション企画第四弾は「奈良」。
大和野菜や奈良漬けなどを使った、奈良らしいおにぎりが生まれました!

訪問した生産者さんの紹介
農家レストラン「粟」の大和野菜
奈良の伝統野菜である「大和野菜」を中心に、生産~加工~販売までの六次産業化に取り組み、集落機能の再構築や地域の発展を目指す「粟」さん。
開放的な店内の至る所に大和野菜が展示されており、食べる前からワクワク。バルコニーには、看板ヤギのファミリーも。野菜の端材を食べて、堆肥づくりにも活躍しているそうです。
今回は大和野菜のフルコースをいただきました。日本で最も古い野菜の一つ「大和まな」のおひたしや吉野本葛を使った煮物、天ぷらなど、旬の大和野菜がズラリ。手間暇かけて栽培された大和野菜ならではの優しい味わいでした。四季を折りなす田園風景を眺めながら、「見て楽しい、食べて美味しい大和野菜」を堪能しました。
奈良屋本店
地産地消をテーマに掲げ、奈良の野菜や酒粕を使用した奈良漬けの製造~販売を手掛ける「奈良屋本店」さん。現社長の増田さんは、職人の勘で漬け込んでいた従来の製造工程を見直し、気温や塩分濃度、発酵具合などをデータ化して蓄積することで、科学的な側面から改良を続けてきたとのこと。また科学的な面のみならず、歴史書も紐解いて「本来の奈良漬け」がどのようなものだったのかを探求されています。しっかり塩漬けをしてから酒粕に付け込むことで内部まで発酵が進んだ奈良漬は、決して塩辛くなく、深いコクが感じられ、平安時代から1200年以上愛されてきた「奈良漬け」の奥深さを垣間見ることができる味わいでした。
十津川村の大谷家
日本一広い村、十津川村の大谷家へ。
普段は道の駅「十津川郷」で地域野菜や郷土料理を販売する朝市を運営しておられ、休みの日には狩猟や釣り、きのこ狩りなどをおこない、豊かな自然と共に暮らしているとのこと。
今回は、十津川の魅力たっぷりの家庭料理をご馳走になりました。
まず始めは、十津川きのこの炊き込みごはん。地元の吉野杉のおが粉で育ったきのこは、通常の2倍以上あろうかという大きさで驚きました。そのきのこをふんだんに使った炊き込みごはんは、口に入れた瞬間に風味が広がり、とても濃厚で食べ応えがありました。
更には地域で古くから伝わる調味料、「とうがらし味噌」の作り方も教えていただきました。生唐辛子を刻み、その後、魚、味噌、砂糖、を煮詰めて作った「とうがらし味噌」は、各家庭で使用する魚や味噌が微妙に異なり、一つも同じ味はできないのだとか。
ピリッと辛く深みのある味わいで、焼いたしいたけに付けて食べるのもまた格別でした。
ワークショップの様子
取材旅の最後には、現地で教えてもらった食材を使って奈良を表現する、おにぎりワークショップを開催。「大谷家」の純子さんや「粟」の三浦さんに加え、「大和野菜イタリアンナチュラ」オーナーの野村さん、三宅町のお米農家さん、三宅町長や地域おこし協力隊の清野さんなど、総勢15名ほどの方にお集まりいただきました。

奈良を表現するおにぎりを作るために準備したり、参加者の方に持ち寄って頂いた主な食材は以下の通り。
・奈良屋本店さんの「奈良漬け」各種
・十津川村の「とうがらし味噌」「高菜」、柚子をくり抜き味噌を入れて乾燥させた伝統料理
「ゆべし」
・粟さんの「大和ナス」「大和ルージュ」
・当日炒ったばかりの三宅町産「金胡麻」
・奈良のブランド豚「大和ポーク」
・奈良の在来種、大鉄砲大豆で作ったこだわりの「大鉄砲醤油」
・生薬だけでなく、食材や調味料へと活用が広がっている大和当帰をふんだんに使った
「大和当帰ソルト」

ワークショップでは、参加者が4チームに分かれて調理を開始。生産者さんが持ち寄った農作物や調味料を組み合わせて、様々なアイデアを生み出しながら手際よく進めていくチームや、お子さんと一緒に具材を味見しながら調理するチームなど、それぞれのチームが楽しみながらワークショップが進んでいきました。
最終的にできあがったおにぎりの一部をご紹介。
・奈良漬け×十津川高菜のタルタル
・大和ポークのリゾット
・大和ポーク×大和丸茄子
・めはり寿司
・大和唐辛子×金胡麻
・大和当帰ソルト×白キクラゲ甘酢煮

最後に
飛鳥時代から1300年の時を経て現代まで受け継がれてきた伝統薬、「陀羅尼助丸」。
奈良県内のいたるところで販売されていました。
意外な組み合わせかもしれませんが、ソフトクリームにもぴったり。
時代に合わせながら伝統を大切に繋いでいく、奈良の県民性が垣間見えました。
ほんだら、奈良にも遊びに来てな!


「こうやって見る景色が綺麗なんですよ」という宿オーナーさんの言葉に、すぐ反応した取材班たち(笑)真剣に取材しながらも楽しむ気持ちも忘れないメンバーだからこそ、地元の方々とも良い関係を築きながら笑顔に溢れる取材になったんだと思います。





















奈良の風土、食文化について
紀伊半島の中央に位置し、周囲を山岳に囲まれた内陸県、奈良。
吉野川を境にして、北は奈良盆地が広がり、1日の気温差が大きく降雨量が少ないのに対し、南は紀伊山地を中心とした山岳地帯となっており、夏を中心に年間降水量が多いなど、南北で気候が大きく異なるのが特徴です。北部は昼夜の寒暖差を活かして大和茶や高原野菜の栽培が盛ん。一方、南部では安定した気温と水はけのよさを活かして柿や梅などの果樹が多く栽培されており、吉野川や十津川などの豊かな河川を活かし、鮎やアマゴの養殖もおこなわれています。
また飛鳥・奈良時代には都が置かれた場所であり、多くの文化が朝鮮半島や中国から持ち込まれ、独自の発展を遂げました。「豆腐」「まんじゅう」「お茶」「清酒」など日本の食文化を代表する多くのものが奈良発祥なんだそうです。
更には、近くに海がなくても美味しい海産物を食べるため、酢飯に鯖の切り身を合わせ、抗酸化・殺菌作用が強い柿の葉で包む「柿の葉寿司」などの文化も生まれました。