ZOJIRUSHI

DISCOVER
旅するおにぎり
VOL.05

SHIMANE島根

菅本香菜さんと象印メンバーが各地をたずねるコラボレーション企画第五弾は「島根」。
しじみや鯖などを使った、島根ならではのおにぎりが生まれました!

島根の風土、食文化について

北は日本海、南は中国山地に挟まれ、東西に約230㎞と細長い形に広がる島根県。
神々が集う場所として有名な出雲大社を有する出雲地方、銀の採掘など鉱山の町として発展した石見地方、北前船の寄港地として栄えた隠岐諸島と、それぞれの地域で異なる文化、歴史が形成されてきました。
また、日本海側にはリアス式海岸が広がり、隠岐諸島周辺では暖流と寒流が合流することで豊かな漁場となっており、鯖、のどぐろなど四季折々で多様な海産物が獲れるのが特徴です。
一方、「水の都」とも言われる松江に位置する宍道湖、中海では、しじみや鰻、すずきなど汽水ならではの魚介類が数多く生息。古くは江戸時代、城下町の松江ではすずきを和紙に包んで蒸し焼きにする「すずきの奉書焼き」が殿様へ献上されるなど、独自の食文化を育んできました。

訪問した生産者さんの紹介

宍道湖しじみ

国内トップの収穫量を誇る宍道湖産しじみ。
「宍道湖漁業協同組合」さんでは、その中でもサイズや鮮度などの厳しい基準をクリアしたものに「宍道湖しじみ」というブランドをつけて販売しています。
こちら、例えば一つ一つ手で貝殻を左右に振ったり、硬いところで転がし、そのときの音でしじみの中身が入っているか、しじみが生きているかどうかを確認して、鮮度と品質を保っているんだそうです。今回は、「宍道湖しじみ」の炊き込みご飯と、しじみの味噌汁をいただきました。
しじみから染み出した旨みをたっぷり含んだごはんと味噌汁は、毎日食べたくなるような優しく滋味深い味わいでした。

https://shinjiko-shijimi.com/

青山蒲鉾店

地元の魚を使用し、炭火焼きにこだわった蒲鉾を製造・販売されている「青山蒲鉾店」さん。
今回、名物「炭火あご野焼」の製造現場を見学させていただきました。 まずはあご(飛魚)の頭やわたを手作業で捌き、その後すり身にしていきます。魚の脂乗りによって粘りが違うため、機械任せにはできないんだとか。そうして出来上がった贅沢なあご100%のすり身に、「地伝酒」といわれる、もち米を発酵させ木炭を加えて絞ったお酒を加え、竹べらで丁寧に心棒へ巻いていきます。
最後は炭火で蒲鉾を焼きながら、剣山のような「火ぶくれたたき棒」を使って、皮に無数の穴を空けていきます。膨れて皮がはがれるのを防いだり、火の通りを良くする効果があるのだそう。
職人技で丁寧に作られたあご野焼は、淡白なあごの旨みと炭火の香ばしい香りが口の中に広がり、上品な味わいでした。

https://www.aoyamakamaboko.jp/

御津フィッシャーマンズファクトリー

「“獲る”漁師から、“獲って売る・つくる”漁師へ」を合言葉に、新しい漁師像をつくることを目指している「御津フィッシャーマンズファクトリー」さん(以下 M.F.F.さん)
今回、鯖の塩辛づくりの様子を見学させていただきました。
通常、鯖の内臓部分は異物があると品質に影響するため「全て取り除いて捨てる」か、取り除く手間がかかるので「全てそのまま入れてしまう」製造方法が主流とのこと。
そんな中、M.F.F.さんでは手作業で一つ一つ内臓部分を確認して選別しているので、無駄なく美味しい塩辛が作れるんだとか。
また、鯖の塩辛がお酒のアテやごはんのお供に合うのはもちろんですが、「万能調味料」としても売り出しており、塩辛の深いコクや旨みが料理に奥深い味わいを生み出すそうです。
今までの漁師の枠組みを超えて様々な取り組みをされている、M.F.F.さんならではの魅力を体感することができました。

https://mitsufishermansfactory0303.co.jp/

ワークショップの様子

取材旅の最後には、現地で教えてもらった食材を使って島根を表現する、おにぎりワークショップを開催。「御津フィッシャーマンズファクトリー」の漁師さんとそのお母さま方を中心に、松江市役所、安藤農園さんなど総勢12名にお集まりいただきました。

島根を表現するおにぎりを作るために準備したり、参加者の方に持ち寄って頂いた主な食材は以下の通り。

・青山商店の「あご野焼」「かにかまぼこ」
江木蒲鉾店  の「赤てん」
・出雲名物、中村鮮魚店の「焼きサバ」
・御津フィッシャーマンズファクトリーの「タコ」「「鯖の塩辛」
・宍道湖漁業組合の「宍道湖しじみ」「しじみの佃煮」
・出雲市産の「生姜パウダー」「山椒」
・木樽で熟成させた森田醤油店の「こいくちしょうゆ」

ワークショップでは、参加者が3チームに分かれて調理を開始。
漁師のみなさんは仕事終わりでお腹がペコペコだったようで、たくさん作っては試食を繰り返し、わいわい楽しみながら調理する様子が印象的でした。

最終的にできあがったおにぎりの一部をご紹介。

・焼き鯖×鯖の塩辛×チーズ
・鯖の塩辛×たこ×マヨネーズ×チーズ
・しじみ×たこの山椒オイルアヒージョ
・しじみ×生姜×ごぼう
・赤てん×マヨネーズ×チーズ
・白イカの沖漬け×鯖の塩辛中華オイル

最後に

漁港から離れた山間地域にある雲南市。
かつては「日本海の魚が生のまま届く限界地点」とも言われていたんだとか。
そんな中、周辺地域の方が鯖を美味しく食べるため生まれたのが、丸ごと一匹焼き上げる「焼き鯖」の文化。
漁港から運んできた鯖を加工して塩辛にしたり、焼き鯖としておかずにしたり、身をほぐして焼き鯖寿司にしたり。1世帯あたりの鯖消費量が全国トップといわれている、島根県民の鯖愛が伝わってきました。

ぜひ、みなさんも島根へおいでんさい!

菅本さんコメント:

雨予報にドキドキした御津漁港での取材。ほとんど雨は降らず無事に漁船での撮影を終え、獲ったばかりのタコでタコ飯を作り、屋外で食べようと外に出たら…綺麗な虹が!みんなで大興奮、最高の環境で美味しい食事をいただくことができました。

PROFILE
「旅するおむすび屋」菅本 香菜さん

食べることの楽しさや大切さを伝えるために、おむすびを通じた食育授業や全国の食文化取材などに取り組んでいる。中学高校時代に拒食症を患い死の危険に直面するも大学時代に克服し「食べることは生きること。そして生きる喜び」と実感したことが原体験。書籍出版とドキュメンタリー映画化が決定。

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