火力アップでさらに高まる、おいしさへの飽くなき情熱。

集中加熱をさらに追求した1400Wの炊飯ジャー「炎舞炊き」

設計開発担当 / 井尻 蓮(左)
炊飯フロー担当 / 野瀬 陽介(右)

かまどの炎のような“ゆらぎ”を求めて誕生した、象印の圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」は、発売から8年目を迎えました。独自のIH構造によって炎の“ゆらぎ”を再現し、お米一粒一粒に高温の熱を行きわたらせることで、ふっくらと甘みのあるごはんを実現。登場以来、着実な進化を重ねてきました。そして2025年、象印史上最高となる1400Wの大火力を備えた新モデルが登場。その進化を支えた開発メンバーの声をお届けします。

STORY.

ごはんをさらにおいしくするために

「炎舞炊き」は、おいしいごはんをめざして、加熱の方法と釜の中の対流にとことんこだわってきました。複数のヒーターを順番に動かすことで、炎がゆらめくような加熱を再現。釜の中に激しい対流を起こし、お米を舞い上げながらしっかり熱を伝えることで、甘みが引き出され、ふっくらとしたごはんに炊き上がります。
今回、さらなるおいしさのカギとなるのが、象印史上最高となる1400Wの大火力の実現です。火力を上げればごはんがおいしくなることは分かっていましたが、それをかたちにするには、同時に解決すべき多くの課題がありました。

大きな火力を、小さなコイルで

まず取り組んだのが、ヒーターにあたるIHコイルの改良でした。銅線をたくさん巻けば高火力に耐えられるコイルは作れますが、そのぶんコイルのサイズは大きくなってしまいます。しかし、重視したのはコイルのコンパクト化。小さくするほど加熱を部分的に集中させ、より強い対流を生み出せるからです。
そこで、コイルを製造する自社工場に何度も足を運び、束ねる銅線の本数や巻き方を少しずつ変えながら試作と検証を重ねていきました。
そうした地道な改良の甲斐あって、ついに目標とする1400Wという大火力とコイルのコンパクト化の両立を実現することができました。

大火力をどのようにおいしさにつなげるか

1400Wの大火力を実現したものの、おいしさの追求はここからが本番でした。試しに従来の炊飯プログラムのまま炊いてみたところ、火力が強すぎて、まるでキャンプで勢いよく炊き過ぎたような硬めの仕上がりになってしまったのです。
1400Wの大火力を「どのタイミングで」「どれくらいの時間」入れると理想のごはんになるのか。細かな調整と試食を何度も繰り返し、ついに、甘みと弾力を兼ね備えた、これまでにない炊き上がりにたどり着きました。
炊き上がりの評価には精密な測定機器も活用していますが、最終的に頼りになるのは、やはり人の味覚です。何十通りもある炊き方をひとつひとつ丁寧に味わいながら見極めていくには、果てしない試食を重ねるしかありません。
そんな苦労の中で出会った、1400Wの大火力でしか生み出せないごはんを初めて試食した時の感覚は、いまでもはっきりと心に残っています。

パワフルだからこそ、安全に

今回の「炎舞炊き」は、1400Wの大火力を効果的に、しかも安全に稼働させることができます。これは、おいしさの追求と並行して、安全性に関わるさまざまな課題にも丁寧に取り組むことで実現しました。
出力が高まれば、それだけ周囲の部品に与える影響も大きくなります。内蔵されたコンピューターやセンサーなどの精密部品をどうやって高温から確実に守るか、発生するノイズを抑えるにはどうすればいいか、など。起こりうる影響を念入りに精査し、工夫を凝らし、その効果を確かめる必要があるのです。
「性能を上げても、品質は落とさない」。設計チームに代々受け継がれてきたこのモットーを胸に、おいしさと品質の両立をめざして、それぞれに全力で向き合いました。

毎日のごはんを、より楽しみに

もちろん、私たちが理想とする「おいしいごはん」は、あくまでも象印の定義。お客さまがそれぞれのお好みの食感に炊けるよう、以前から「わが家炊き」というメニューを設けていました。そして今回、そのお好みにより早く近づけるため、新たに搭載したのが「お好みごはん診断」。ごはんに関する3つの簡単なアンケートに答えるだけで、「わが家炊き」のスタート地点を自動調整する機能です。
さらに、これらの操作をより直観的に行えるよう、象印で初めて「カラータッチ液晶」を採用。色づかいや文字の見やすさにこだわり、「メニューの特徴」や「お手入れ方法」、「おいしさのアドバイス」などもスムーズに確認していただけます。また、細かな使いやすさにも目を向け、「内ぶた」は耐久性を高めて食洗機対応に。毎日使うものとして、便利さやお手入れの面でもグレードアップをめざしました。

  • ▲ 色づかいや文字の見やすさにこだわったカラータッチ液晶

  • ▲ 進化した内ぶたは、食洗機で手軽にお手入れ可能

もっともっと、ごはんがおいしい象印へ

2018年に誕生した初代「炎舞炊き」から8年。象印はつねに“ごはんのおいしさ”と向き合い、毎年のリニューアルで改良を重ねてきました。その歴史における大きな一歩といえるのが、今回の集中加熱を追求した1400Wのモデルです。
象印史上最大の火力が生み出す激しい対流により、高級なブランド米はもちろん、古くなって水分量が減ったお米でも、驚くほどふっくらとした仕上がりに。ごはんのおいしさの幅が、これまで以上に広がりました。
また、最上位モデル「炎舞炊き」で培ってきたこだわりや技術は、他の象印の炊飯ジャーのラインアップにもさまざまな形で応用されています。デザインや価格帯が異なっていても、どのモデルでも象印の炊飯ジャーで炊くごはんのおいしさを感じていただけるよう、細部にまで工夫を重ねています。
毎日食べるごはんだからこそ、少しずつでも成長をつづけていきたい。もっともっと、明日のごはんをおいしくするために。私たちはこれからも、歩みを止めることなく進化しつづけます。

SECRET STORY.

象印ものづくりの
「ここだけの話」

井尻蓮

「初めて最上位機種のモデルチェンジリーダーを担当しましたが、部署の垣根をこえた“チームプレイ精神”に支えられました!」

井尻 蓮 / 設計開発担当

野瀬陽介

「初めてのカラータッチ液晶に、他のチームメンバーや部長まで興味津々。この好奇心や探求心が象印のものづくりの原動力なのかも」

野瀬 陽介 / 炊飯フロー担当

※所属部署・内容は取材当時(2025年9月)のものです。