力を合わせてゲームにチャレンジ!

35分間のゲームの時間から「夢の教室」スタート。
最初のゲームは、5人で手をつなげばセーフの鬼ごっこ。加藤さんを入れて26人だったため、みんなで加藤さんを囲んで鬼役のアシスタントから守りぬきました。つづいてはボールを使っただるまさんが転んだにチャレンジ。手をつないでみんなでゴールを目指します。はじめはバラバラでうまくいきませんでしたが、作戦タイムで意見を出し合うたびに、どんどんクラスがひとつになっていきました。
ゲームの時間の最後には加藤さんからメッセージ。「みんなで決めたこと、みんなの目標を達成するためには、全員が同じ気持ちを持って、その気持ちを行動に移すことが大切」という言葉を伝えてくれました。

ゲームの時間のあと、
みんなで冷たいスポーツドリンクを飲みました!

小学6年生の「人生の決断」

「夢の教室」後半55分間はトークの時間。加藤さんが夢を叶えるまでの話を聞いたり、自分の夢について考えたり、クラスメイトの夢を聞いたりしました。

加藤さんが水泳を始めたのは小学1年生の時。始めた理由は、水泳に行った日はアイスを買ってもらえるという可愛いものでした。小学5年生から選手コースに入り、この後10年以上も指導を受けることになるコーチと出会いました。加藤さんが小学6年生の時、ある決断を迫られます。それは中学校に進学してからも水泳を続けるか、それともバスケットボール部に入るかというものでした。両親がバスケットボール選手だった加藤さんは小さいころからバスケットが大好きで、もともとは両親も加藤さんも中学校に入ったらバスケ部に入ると考えていたそう。しかし水泳で成績が伸びてきたこともあり、どんどん水泳が好きになってきていた加藤さんは、「水泳を続ける」という決断をします。でも両親は加藤さんが中学生になったらバスケ部に入ると思っていたので、加藤さんはドキドキしながら「水泳を続けたい」という気持ちを両親に打ち明けました。返ってきた答えは「和(いずみ)がやりたいんだったら応援するから水泳やっていいよ。でも自分で決めたことなんだから最後までやり通すことが条件ね」というものでした。

この両親との話がきっかけで、加藤さんは「お父さんお母さんが水泳をやらせてくれるんだからオリンピックに出たい」という夢を見つけることができました。

みんなのためにもオリンピックに行くんだ!

中学生になってからも選手として順調に成長していく加藤さん。中学3年生の時には全国大会の400m個人メドレーで優勝、200mでも3位に。そして高校2年生の時、ついに日本代表に選ばれます。いよいよ夢のオリンピックが近づいてきました。そして迎えた2007年、北京オリンピックの選考会。結果は落選でした。派遣標準タイムに0.7秒足りなかったのです。夢のオリンピックに手が届きそうなところでの挫折に、水泳をやめようかなとまで考えた加藤さん。でもあと4年、次のオリンピックまでがんばってみることに決めました。

そして加藤さんは、あと4年をどう過ごせばオリンピックに行けるかを考えました。

まず反省点として気づいたのは、覚悟の足りなさ。絶対にオリンピックに行くんだという強い気持ちを持つよう意識します。そして環境も変えました。今まで二人三脚でやってきたコーチのいる福島を離れ、山梨学院大学に編入。ダメな時にも熱心に誘ってくれた新しい大学のコーチのもとでオリンピックを目指すためです。福島のコーチも背中を押してくれました。

挫折を糧に、もういちど夢に向かって

そしてロンドンオリンピックを翌年に控えた大学3年の時、4年ぶりに日本代表に選ばれます。順位は1位、タイムも派遣標準記録をクリアした状態で選ばれた日本代表。いよいよ夢のオリンピックに行けると思っていた時に、とても悲しい出来事が起きます。2011年3月11日。東日本大震災です。

加藤さんの実家は福島県。山梨で暮らしている加藤さんは家族のことがとても心配でした。ようやく連絡がとれて、実家に帰ろうかと言った加藤さん。しかし家族の返事は「帰ってこなくていい」でした。「今は和ちゃんにとってとても大事な時期だから水泳のことだけ考えてほしい」というのが理由でした。その言葉は加藤さんに新たな力をくれました。それまでは、自分の夢を叶えるためにオリンピックに行くんだと思っていた加藤さん。でもこの両親の言葉を受けて「今まで関わってくれたみんなのためにもオリンピックに行くんだ!」という気持ちが加わり、絶対にオリンピックに行く!という覚悟が強くなりました。そして2012年ロンドンオリンピック。みんなの思いを力に変えた加藤さんは、子どもの頃から抱き続けた夢のオリンピックに出場することができました。

トークの時間の最後には、加藤さんからみんなに伝えたいことを3つ話してくれました。

1つ目は「出会いを大切にしてほしい」。2つ目は「家族やチームメイトなど支えてくれる人にありがとうと言葉で伝えてほしい」。3つ目は「覚悟の気持ち」絶対に夢を叶えるという強い気持ちに向かって一歩一歩努力してほしい。この3つを大事すれば、きっと夢をかなえることができるから頑張ろう!というメッセージで夢の授業を締めくくってくれました。