フリースタイルフットボールとの出会い

徳田さんは、お兄さんの影響で小学1年生からサッカーを始めました。小学校6年間サッカーを習い続け、中学でもサッカー部に所属しました。中学では部活に所属するということで、小学生の時の練習とやり方が違ったり、自分よりもうまい先輩たちと一緒に練習をするなど、今までとは異なる環境で練習に取り組まなければならなかったので、徳田さんは、「もっとサッカーについて詳しくなろう。」と思い、サッカーの本を探しに本屋さんに行ったそうです。その本屋さんでフリースタイルフットボールの本を見つけ、家に買って帰りました。

その本にはDVDの付録がついていて、映像には、選手がかっこよく技を決めている姿がたくさん映されていました。それを見た徳田さんは、「こんなにかっこいい競技があるんだ。」と衝撃を受けたそうです。プロサッカー選手がリフティングで技を決める姿を見たことはあったので、上手い人がやるものだと思っていたのですが、その本では、「練習すれば、誰でもできる。」と書かれていたので、徳田さんは半信半疑ながらも、「自分もかっこいい技が決められるようになりたい。」と思い、フリースタイルフットボールの練習を始めることにしました。

中学1年当初の徳田さんのリフティングの最高記録は20回。フリースタイルフットボールの技に挑戦するのはまだ早いと思い、まずはリフティングの回数を増やす練習を1か月続けました。そうすると、150回できるようになりました。徳田さんは、練習で毎回目標回数を設定し、その回数ができるようになるまで家に帰らないと、自分でルールを決めていたそうです。1日の違いはほんの少しですが、気づけば最初の何倍もできるようになったので、コツコツ継続して練習をすることが大切だと、この経験から学んだそうです。

そして、リフティングの回数が増えてきたので、技にも挑戦しました。挑戦する中でたった1度だけ技を決めることに成功したそうなのですが、プロや才能がある人でなければできないものだと思っていた技が自分にもできたことで、本に書いていた「練習すれば、誰でもできる。」という言葉は本当だったと実感したそうです。また、フリースタイルフットボールは、初めて自分で見つけた好きなことだったため、この時に本格的に練習を始めようと改めて決心したそうです。

練習に打ち込む日々、日本大会優勝までの順風満帆な道のり

部活の合間の時間や休みの日など、自分の使える時間はフリースタイルフットボールの練習に費やし、少しずつ本に載っていた技もできるようになりました。中学3年では、ケガをしてしまい、長時間身体を動かすことに対してドクターストップがかかり、サッカーはできなくなってしまいましたが、少しずつフリースタイルフットボールは再開できたので、それに専念して練習を積み重ね、始めてから2年でリフティングを10112回もできるようになっていました。高校でも独学でフリースタイルフットボールの練習を続けていたのですが、その時の徳田さんには目標がありませんでした。

そんなある日、徳田さんはテレビでフリースタイルフットボールのニュースを見て、世界大会があること、そして日本人がその大会で準優勝したことを知り、その日本人選手にメールを送ったそうです。メールの返信で、2年後に日本で大会が開催されることを知り、徳田さんは、「大会に出場する」という目標ができました。

初めて出場した日本大会では、予選5位で決勝に通過することができました。決勝はトーナメント形式で行われ、その初戦は徳田さんがメールを送った世界大会準優勝の選手でした。相手が格上の選手ということもあり、負けてもいいというくらいの心構えで初戦に挑んだ結果、見事初戦を突破し、その後も順調に勝ち進んだ徳田さんは、初めての日本大会で優勝することができました。