SAGA佐賀
菅本香菜さんと象印メンバーが各地をたずねるコラボレーション企画、最終回は「佐賀」。
佐賀牛や嬉野茶を使った、佐賀ならではのおにぎりが生まれました!

訪問した生産者さんの紹介
佐賀県有明海漁業協同組合 鹿島市支所
有明海で海苔の生産~販売をおこなう「佐賀県有明海漁業協同組合」さん。
日本一の干満差を誇り、太陽光と栄養分たっぷりの海水を交互に吸収できることから、 黒褐色の艶、磯の風味、香ばしい甘味を含んだ独特の美味しい海苔ができるそうです。
今回、海苔漁船に同乗させていただき、種付けされた網を見学しました。
培養されたばかりの種は肉眼でわずかに確認できるくらいの大きさでしたが、半月ほどで20㎝くらいに伸び、収穫できるようになるとのこと。驚くことに、同じ海で同じ製法で育てても、漁師さんごとに海苔の味は異なり、そこが腕の見せどころなんだとか。
おにぎりに欠かせない海苔。漁師のみなさんのこだわりを体感することができました。
株式会社あはひの
緩やかな山に囲まれた盆地が広がり、茶づくりが盛んな嬉野市。
嬉野茶の歴史は古く、室町時代に中国大陸から移住した渡来人が自家用に栽培したのが始まりだそうです。今回、嬉野で茶の生産から販売をおこなう「株式会社あはひの」の松尾俊一さんにお話を伺いました。松尾さんが手がけるのは一般的な蒸し製緑茶とは異なる、釜炒り製玉緑茶。
生の葉を釜で炒るため、釜香と呼ばれる独特の香ばしい香りが特徴です。(詳細動画はこちら )
お茶の収穫、製造の機械化が進む中、松尾さんは伝統的な手摘み、手揉みにこだわっているんだとか。そのため、年間収量は数十㎏程度とかなり希少です。
手摘み、手揉みならではの上品な香りと清々しい清涼感、口に含んだ時に優しく広がる茶の甘味を堪能しました。
キャラバン
佐賀の素材にこだわり、地元ならではの味を鉄板焼きで提供している「キャラバン」さん。
扱っている佐賀牛はA5ランクでキメが細かく、適度な霜降りと甘みが特徴です。
お肉を熟成させることで風味を引き出し、食べごろを見極めて提供しているそうです。
さらにシェフみずからお客さんとの対話を通じて、好みの部位や焼き方も調整して提供されており、徹底的にこだわり抜いたおもてなしを体感することができました。
今回いただいた佐賀牛の「シャトーブリアン」はとっても柔らかく、口に入れると溶けるような食感で旨みが広がる極上の味わいでした。
また調理の仕上げでは、炎が舞うエキサイティングな演出も。見て楽しい、食べて美味しい佐賀牛を堪能しました。
ワークショップの様子
取材旅の最後には、現地で教えてもらった食材を使って佐賀を表現する、おにぎりワークショップを開催。多久市役所の皆さん、おにぎり屋を開業予定の方、子ども料理教室を開催されている方など、総勢15名にお集まりいただきました。

佐賀を表現するおにぎりを作るために準備したり、参加者の方に持ち寄って頂いた主な食材は以下の通り。
・厳しい品質基準を満たした黒毛和種の「佐賀牛」
・柔らかい肉質とあっさりした味わいが特徴の「有明鶏」
・じっくり天日で干した「呼子のイカ」
・松尾さんの「嬉野茶」
・有明海漁業協同組合さんの「有明海苔」
・佐賀の穏やかな気候で育った「さがびより」

ワークショップでは、参加者が3チームに分かれて調理を開始。
茄子を切り抜いた型に具材を詰めたり、お茶を炒って色々な食材と併せてみたり。
皆さんが自由な発想で、それぞれが想う佐賀おにぎりがつくられていきました。
最終的にできあがったおにぎり具材の一部をご紹介。
・呼子のイカ×有明鶏×佐賀れんこん×こんにゃく
・呼子のイカ×有明海苔佃煮×梅
・佐賀牛×佐賀なす×佐賀みかん
・嬉野茶×有明海苔×チーズ

最後に
佐賀県を訪れて最も強く感じたのが、「おもてなし」の文化。
寿司屋の大将が近くのおすすめ店を教えてくださったり、居酒屋の店主が海苔漁師さんを紹介してくださったり。
さらには、地元の方に観光地を案内していただいたりと、まさに至れり尽くせり。
来訪者に楽しんでもらいたい。佐賀を好きになってもらいたい。
そんな「おもてなし」の心と、地元愛を感じました。
全国各地を回る取材旅も今回が最終回。
みなさん、次は万博会場でお会いしましょう。
そいぎんた~!


「佐賀有明海苔の取材は難しいかな」と諦めていた頃に向かったのが、有明珍味をいただける居酒屋『矢ぐるま草』さん。なんと大将が甥っ子の海苔漁師松尾さんに電話してくださって、翌朝取材させていただけることに…!漁船にも乗せてくださって丁寧に海苔についてお話しもしてくださいました。取材先でのご縁に救われた佐賀旅でした!





















佐賀の風土、食文化について
九州の北西部に位置し、北は豊かな漁場が広がる玄界灘、南はムツゴロウやワラスボなど独自の生態系を有する有明海に面しています。
古くは弥生時代から、吉野ケ里遺跡を中心に日本の稲作文化の象徴としても有名。
九州最大の平野、筑紫平野を有し、「九州の米どころ」とも呼ばれる一方で山間部も多く、質の良い陶石が採れたことから「伊万里焼」など磁器の産地としても知られています。
また、毎年秋におこなわれる「唐津くんち」は収穫を祝う伝統的な祭りで、その中でも地域文化を色濃く反映しているのが、祭り中に各家庭で振る舞われる料理。
玄界灘で獲れる高級魚のアラ(くえ)の姿煮やツガニで来客をもてなすのが定番。
3日間で3カ月分の給料が飛ぶことから、くんち料理は「三月倒れ」とも呼ばれるなど、
豊かな海で獲れる海産物と共に独自の文化を育んできました。