• TOP>
  • JOURNAL>
  • 自動調理なべのスタンバイ vol.3

STORY03自動調理なべ「の」スタンバイ。象印マホービン 第一事業部 三嶋一徳さん 象印マホービン デザイン室 遠藤麻美さん

あなたの暮らしのスタンバイ vol.2

「あなたの暮らしにスタンバイ」をコンセプトに展開される「STAN.」シリーズ。2019年2月に、炊飯ジャー、ホットプレート、電動ポット、コーヒーメーカーの4製品でデビューした後、2021年10月に発売されたのが「自動調理なべ」です。新しいジャンルの家電ですが、STAN.らしい自動調理なべとは何なのか考え、たくさんの試行錯誤を経て製品化されたそうです。企画開発の経緯や想いについて、象印・第一事業部の三嶋一徳(みしま かずのり)さんと、デザイン室の遠藤麻美(えんどう まみ)さんに伺いました。

CHAPTER 01

CHAPTER
01

この自動調理なべを使うことで、
普段料理をしている方の
自分時間を生み出せたらと

デビューシリーズが予想以上の好評を得たというSTAN.ですが、新たな製品として、なぜ自動調理なべを選ばれたのでしょうか?

三嶋さん:STAN.は30〜40代の共働きや子育て世代に向けたシリーズですが、自動調理なべはちょうどターゲット層が重なっていたこともあり、シリーズの企画当初から頭の中にあったんです。

どのような製品なのか、改めて特徴を教えていただけますか?

三嶋さん:自動調理なべは、ほったらかしで調理ができる家電ですが、

STAN.はホーローの内なべを採用しているというのが大きな特徴です。蓄熱性があるためおいしく仕上がりますし、ガスの直火にもかけられるので温め直しが手軽にできて、便利に使っていただけます。ホーローなべ用のふたも付属しているので、そのまま冷蔵庫で保存することもできるんです。

ホーローを採用している自動調理なべは他にないと聞きました。開発では苦労されたのでしょうか?

三嶋さん:ホーローは、厚さを均一にすることが難しいんです。一品一様の手作り感があるというか。直火で火加減を調整しながら使うのであれば、一つ一つの厚みが多少違っていても問題ないですよね。でも電気製品である自動調理なべの場合は、個体差があると仕上がりに影響が出てしまいます。だからなるべく差が出ないように量産することが難しくて、今も手間がかかっています(笑)。

厚みにもこだわっていて。ホーローなべは、厚さ3mmか0.8mmというのが一般的ですが、この自動調理なべでは2mmにしています。3mmだと蓄熱性が高い分、重くなってしまう。逆に、0.8mmは軽いけれど蓄熱性が低い。軽い方が使いやすいけれど、おいしさは譲れないということで、試行錯誤を経て2mmにたどり着いたんです。重すぎずおいしい、使い勝手の良いなべになったと思います。

ジッパーつき食品保存袋を使ったパック調理ができるというのも魅力ですね。しかも2品同時に作れるのはとてもありがたい機能だと思います。

三嶋さん:ホーローということで煮込み料理がおいしく手軽にできることにはこだわりましたが、毎日は食べないな、と。あと、主菜だけだと食卓が寂しいですよね。彩りや栄養を考えると副菜が欲しいけれど、別で作るのは大変なので、パック調理を取り入れることにしました。しかも、1品だけではなく2品同時に作れることで、主菜と副菜を一緒に調理できたらすごく助かるなと。

遠藤さん:使用するパックの種類を考えたり、ホルダーの形状を検討したり、設計担当者はかなり苦労していましたね。はじめの頃から考えると、デザインもかなり整理されました。

三嶋さん:パック調理は、お湯の熱をムラなく食材に伝えるために、中の空気を逃せるよう袋の口を開けた状態でセットするのですが、どうやってホルダーに取りつければ安全でおいしくできるのか、試行錯誤を重ねました。シンプルだけど、考え抜かれた形なんですよ。2品同時というのも副菜って一品だけですか?と担当に無理を言って叶えてもらいました。

ホーローなべもパック調理も、使う方のことを考えて作られたものなんですね。他にお勧めしたいポイントはありますか?

三嶋さん:お手入れのしやすさは大切なポイントだと思っています。一般的な自動調理なべは、取り外さなければいけない部品が多いのですが、この製品は、毎回洗うのはホーローの内なべと内ぶた、つゆ受けだけで、手軽なんです。汚れも落ちやすいですし、使った後にさっと洗って片づけることができます。本体の天面がフラットなので簡単に拭けたり、細かい部分までこだわっています。

三嶋さんも実際に日々使われていると伺いました。生活に取り入れてみていかがですか?

三嶋さん:気持ちに余裕が生まれました。夕方になると食事の心配で焦っていたのが、保温機能や予約機能を活用することで、帰ってから慌てて準備をしなくて済むようになったんです。「時産(じさん)」という言葉を企画当初から掲げているのですが、この自動調理なべを使うことで、普段料理をしている方の自分時間を生み出せたらいいな、と考えています。

CHAPTER 02

CHAPTER
02

「食卓革命」を起こしたいと
思っているんです

付属のレシピブックにもたくさんのメニューが紹介されていますね。

三嶋さん:おすすめは煮込みハンバーグで、市販のタネを入れるだけでも、簡単においしくできるので気に入っています。

レシピブックでは自家製ミールキットの提案もしています。週末など時間がある時に準備をしておけば、平日は帰ってからセットするだけなので気が楽ですし、パック調理で作った常備菜があれば立派な食卓が完成します。1週間単位で計画を立ててもいいし、その日のメインを自動調理なべに任せてその間に副菜を

作ってもいいし、それぞれの使い方で生活に馴染んでいってもらえたらうれしいです。

いろいろとアレンジもできるんです。自動調理なべって、決まったメニューを指示通りに作る前提の製品が多いですよね。でも毎日レシピを見るのも大変じゃないですか。STAN.ではもっと自由に使ってもらえるように、セットするボタンを温度と時間だけのシンプルな構成にしているんです。レシピ通りじゃなくても、コンロの火を強めたり弱めたりする感覚で使ってもらえると、作る料理の幅もぐっと広がるんじゃないかと思います。

STAN.シリーズといえばやはりデザインに注目が集まっていますが、自動調理なべではどんなところにこだわったのでしょうか?

遠藤さん:STAN.は「うつわ」をコンセプトにしていて、出しておきたくなるような、生活の風景に馴染むデザインが特徴になっています。自動調理なべでは、炊飯ジャーとの違いをどう出すか意見が分かれました。あまりに似すぎてしまうので、当初はなべをイメージさせるような丸型にしようという意見もあったんです。

四角型に落ち着いたのは、キッチンに置かれている様子をイメージしてみたからです。これまでの象印製品と違って、

STAN.は素敵なキッチンに置かれた写真が投稿されることが多くて。それらを見ていると、きれいに面を揃えることで整理された印象が出ていることがわかったんです。いろいろと議論はしましたが、シリーズとして統一感もある今の形に決まりました。

サイズにもとてもこだわっています。限られたキッチンスペースに置きやすいように、設計担当者と限界まで小さくしようと試行錯誤を重ねました。ただ小さくするだけでなく、作れる料理のボリュームとのバランスも大切ですよね。他社製品では四人分が一般的ですが、STAN.ではよりコンパクトなのに六人分の調理ができるんです。せっかくなら多めに作って作り置きしてもらったり、量にも余裕を感じてもらえたらうれしいです。

デザインでも使う人のことが考えられているのですね。実際に使われている方の声はいかがですか?

三嶋さん:意外とごはんが美味しく炊けるという意見もあって驚いています。実際の子育て世帯では、炊飯ジャーも必要だと思いますが、そうでない家庭や一人暮らし、シニア世代にとっては、用途がいろいろあることも大切だと気づきました。

遠藤さん:STAN.シリーズは、愛着を持って使っていただけている実感があります。

嬉しいことに見えるところに出しておきたいとよく言っていただけます。自動調理なべも、その人それぞれの生活に、様々な使い方で馴染んでいくと思うので、ユーザーの声を聞ける機会も作っていきたいですね。

三嶋さん:大きくいうと「食卓革命」を起こしたいと思っているんです。取り入れることで、食卓のあり方や生活のリズムが変わるような。その人に合わせて働いてくれる、ユーティリティープレイヤーでもあるので、たくさんの人に試してもらいたいですね。家電レンタルサービスの「Rentio」さんでも取り扱っていただいていて好評なんです。まずは発売できたので、これからはもっと多くの方の生活に寄り添えるように、レシピを増やしたり、アレンジ方法を紹介したりして、サイトや店頭、イベントなどで伝えていく努力をしたいと思っています。

インタビュー・文:金祥艾
写真:山下弘毅
企画・編集:種市一寛