象印 ZOJIRUSHI

技術をやさしさで包み、家族の絆を温めるIoTへ。

「みまもりほっとライン」リニューアル

CS推進本部 / 後藤 和枝(左) 
設計開発担当 / 松本 健太(右)

「みまもりほっとライン」とは、電気ポットの使用状況を通して、離れて住む家族の安否を見守れるサービスです。象印の家電製品と通信を組み合わせたIoTの先駆けとして、独自にシステムを開発。2001年より、多くのお客さまにサービスを提供してきました。登場から20年以上経ったいまも、“さりげない見守りができる”とご好評の本サービスが、2023年5月よりリニューアル。どのような想いを受け継ぎ、新たな魅力をプラスできたのか、担当メンバーからの声をお届けします。

STORY.

相手を想うやさしさが基本

親御さんが実家で電気ポットを使ったら、遠く離れたご家族にメールが届いて「あ、今日も元気ね」と安心できる。2001年、当時の最新技術によって実現した「みまもりほっとライン」が、いまもお客さまに愛用されるサービスでありつづける理由は、その“やさしさ”にあると思います。
私たちの考えるやさしさとは、見守られる側に負担やストレスをかけず、いつもの日常にさりげなく安心を忍ばせること。そんな見守りの機器としてピッタリだったのが、高齢の方でもカンタンに操作できて、毎日使う電気ポットでした。今回のリニューアルでは、レンタルするポット本体だけではなく、サービス基盤まで一新することで、本サービスの基本であるやさしさ、安心をよりいっそう高めたいと考えました。

いちからの基盤づくりに苦心

「みまもりほっとライン」の要となるのは、ポットの利用状況をデータ化して送る情報通信サービスです。2001年のサービス開始時から大きく進化したインターネット環境に対応して、「象印独自のIoTプラットフォーム」を構築すること。さらに、ポットで「見守る」このサービスを第一歩として、今後新たな製品・サービスで幅広く情報を「つなげる」ための土台をつくること。これが今回のリニューアルにおける大きな目標であり、最大の難関でもありました。
とくに通信の技術面で苦労したのが、ポット内部に取りつける通信基板の開発です。通信系の協力会社と一緒に取り組んだものの、最初はなかなか通信が安定しなくて。目に見えない電波を追いかけて、試作を重ねること200台以上。通信の安定しないエリアなどでのテストを繰り返し、ついに「圏外でない限りつながる」レベルをクリアできたときは、本当に嬉しかったです。

つなげたいのは、ご家族の絆

畑違いのチャレンジをしてまでも、私たちが自社ならではの通信を使ったサービス構築にこだわったのは、ひとつひとつのご家族の絆をよりいっそうきめ細かく支えたいと考えたからです。
今回新しくなるサービスでは、たとえば「長時間使っていない」「電気ポットが空の状態で電源を入れた」など、ご利用者の行動の変化を詳しくお知らせすることが可能に。もしかすると認知症の前兆かもしれない異変に、早めに気づいていただけるようになりました。「そういえば、こんなことなかった?」と本人に軽く聞けるのも、暮らしを監視するのではなく「そっと見守る」というコンセプトの「みまもりほっとライン」だからこその良さです。このサービスが、ご家族でコミュニケーションをとる機会や、日常の話題を増やすことに役立つよう願っています。

見守られる方にも、より使いやすく

「みまもりほっとライン」が日常で使用する他の象印商品とちょっと違うのは、“見守るご契約者”と“見守られるご利用者”、両方のお客さまがいらっしゃることです。通信のサービスは主にご契約者向けですが、ご利用者にとってもより便利で使いやすい商品となるよう、ポット本体においてもさまざまな改良を実現しました。
最も大きなところでは、内部の通信基板の小型化により、容量はそのままにスリムで軽いボディを実現。高齢の方でも、より扱いやすくなりました。また、4段階の切り替えができる保温温度設定をはじめ、それを表示する液晶パネル、お湯の残量が見やすい水量計など、使い勝手がよくなる機能をプラス。押す順番をボタンに直接貼れる「番号シール」など、ご利用者へのささやかな配慮も添えています。

  • ▲「みまもりほっとライン」専用のポット「iポット」

  • ▲ (上)パネルが見やすい「くっきり液晶」
      (下)残水量がわかりやすい「赤玉水量計」

お客さまの声に支えられて

「みまもりほっとライン」ではサービス開始時から専用の窓口を設けており、つねにお客さまとのコミュニケーションを大切にしてきました。ときには、「実家に帰ったら親が、まるで家族のようにポットに声をかけて愛用していた」と嬉しい声をいただくこともあります。
また、ご家族との同居などでサービスを退会される際も、「これまでポットのおかげで不安なく過ごせた」と多くの方から感謝のメッセージをいただき、このサービスの重要性をあらためて実感。これからも、必要とされるすべての方にご利用いただけるよう、いっそう便利になったサービスをしっかりご案内していきたいです。

つながる、ひろがる、未来に向けて

今回のリニューアルをきっかけに、「みまもりほっとライン」にどんな良さや社会的な役割があるのか、私たち自身もあらためて見直すことができました。それと同時に、これからどうお客さまの役に立っていけるか、という新しい可能性も発見できたと感じています。
プライバシーに十分配慮したうえで、お客さまにとって大切な情報をやりとりすることで、かけがえのない日常にしっかりと寄り添っていきたい。そして、ここで培った通信やIoTのノウハウを活かし、幅広いお客さまの暮らしをもっと便利に、安心にしていけたら。象印のホットラインがよりよい未来につながることを願って、これからも一歩ずつ取り組んでいきたいです。

SECRET STORY.

象印ものづくりの
「ここだけの話」

後藤 和枝

「“こんな良いサービス、もっと世に広めないと!”とお客さまに熱弁されて、PRにももっと力を入れたいと思いました」

後藤 和枝 / CS推進本部

松本 健太

「“そこまでやりますか?”と外部のIT業者さんに言われ、100点を追求する象印の姿勢をあらためて自覚しました」

松本 健太 / 設計開発担当

所属部署・内容は取材当時(2023年3月)のものです。