象印 ZOJIRUSHI

「ここちよいくらし」を届けるデザインを追求しつづけます。

「デザインビジョン」

デザイングループ / 遠藤 麻美(左) 
デザイングループ / 内藤 彩佳(右)

お客さまに日々の暮らしの中で使っていただいている象印商品は、社内デザイナーが機能や使い心地を考慮して色や形状をデザインしています。そのデザイングループが、“これからの象印のデザインを考える”取り組みをはじめたのが4年前。以後、さまざまな活動の集大成として、2022年に「くらし やさしく ここちよく」というデザインビジョンと、それを紐解く6つのフレームを策定しました。お客さまのために、暮らしによりそうデザインを目指して、デザインビジョン策定に携わったデザイナー2人にお話を伺いました。

STORY.

自分たちの「あったらいい」をカタチに

たとえば、新しい商品のデザインを考えるとき、「象印のデザインは、こういうもの」という指標があれば、みんなが同じ方向性で「象印っていいな」とお客さまに思われるものを表現できる。私たちデザイングループがずっと考えてきたことを具体化したのが、このデザインビジョンです。
これまでにも、企業理念に沿ったデザインフィロソフィーがあったものの、抽象的でわかりにくい面がありました。そこで今回は、デザイナー全員で意見を出しあい、「くらし やさしく ここちよく」というメインフレーズを決定。同時に、ビジョンを商品に表現していくためのメソッドとして、「やさしさのカタチ」を設定しました。

象印が考える“やさしさ”とは

とくに「ここはしっかり認識を共有して、商品に反映したい」と考えたのが、ビジョンの中にある「やさしく」という言葉。幅広い意味を持つだけに、人によってさまざまに解釈できるからです。「じゃあ、象印の“やさしさ”って、なんだろう?」と議論を重ねて絞り込んだのが、6つのキーワードからなる「やさしさのカタチ」です。
1つめの『おもいやり』は、使う人を最優先する象印らしさの象徴として、ほぼ全員が真っ先に挙げました。2つめの『きびしさ』は、「やさしさの真逆では?」と思われそうですが、自分たちの仕事や商品への厳しさは、使うお客さまへの優しさや思いやりに直結します。さらに、『つよさ』『なじむ』『うけつぐ』『かわる』と、選びぬいたキーワードひとつひとつに簡潔な解説を添え、策定に関わっていない人にも、その意図が正確に伝わることを目指しました。

“見える化”して伝わりやすく

こうしてビジョンを解説する文字要素がまとまり、「これを社内外のさまざまな人たちに、どう発信していくか」という詰めの段階へ。グラフィックツールを制作したり、コンセプト動画を撮ったり。より多くの人に私たちのデザインに対する想いや考え方が伝わるよう、デザインビジョンを“見える化”していきました。
たとえば、コンセプト動画にはくらしの風景を取り入れ、登場する小道具や人物に非日常感がないよう細かく配慮。同じように、ビジュアルツールに使う書体や色、文字のかなづかいも念入りに検証しました。そこまでこだわったのは、こうした目に見えるツールが、ものづくりの現場で認識を合わせるためにも重要だから。営業や企画、設計メンバーなどにも私たちデザイングループが思っていることを具現化して共有してこそ、実際にお客さまの手に届くカタチにできると考えたからです。

心の中でつながっていた「象印らしさ」

象印には何人ものデザイナーがいますが、基本的にひとりのデザイナーがひとつの商品を担当。責任を持って細部まで詰めていく作業の中で、デザイナー同士がデザインについて深く語りあう機会は多くありませんでした。だからこそ、今回のビジョンのように、同じ方向を目指すための指標が必要だったのです。
ところが、実際に話しあってみると象印のイメージについて共通する部分が想像以上に多く、「象印らしさ」は自分たちの心の中で通じあっていたんだ、と一同で感心。可視化したことで各自の表現がさらに一歩前に進むのでは、と期待しています。たとえば、新製品のためのデザインコンセプトを考えるときも、このデザインビジョンが道しるべとなり、確信をもって進められるように。そのぶん、商品の特性や使うシーンに注目して、新しい感性やアイデアを追求できます。また、思いついた案についても、『おもいやり』は?『つよさ』は?と、いろんな視点から検証できるようになりました。こうしたデザインに対する丁寧な心配りを次世代のデザイナーへ『うけつぐ』ことにも、今後は力を入れていきたいです。

末長く、共感してもらえるデザインを

象印のデザインが新しいステージを迎えた中で立ち上げられた今回のビジョン。「なんとか変わらなきゃ」と無理に背伸びしたものではないので、『かわる』というキーワードは一番後ろになっています。
日常に根ざしたデザインだからこそ、時代とともに変わっていくのが当たり前。けれど、はるか先の未来を追いかけるよりも、半歩先に「どうぞ」と手招きするような存在でありたい。これからの象印のデザインに込められた想いの数々を、少しでもいろんな方に感じていただきたくて、象印のサイトでご紹介しています。ぜひ一度ご覧いただき、これからの象印のデザインへの期待を高めてもらえることを願っています。

SECRET STORY.

象印ものづくりの
「ここだけの話」

丸山純

「途中入社だからこそ感じる、社員みんなの象印愛とお客さま愛。今回のキーワード探しでも、“おもいやり”をはじめポジティブな言葉がいっぱい挙がりました」

内藤 彩佳 / デザイングループ

小林尚史

「入社以来、社内外からデザインを評価いただく機会が増えたと実感。これからも期待に応えるデザインを目指したいです」

遠藤 麻美 / デザイングループ

所属部署・内容は取材当時(2023年10月)のものです。