象印 ZOJIRUSHI

「つくる楽しさを届けたい」、象印のおいしさを支える仕事人。

「調理家電のレシピ開発」

レシピ開発担当 / 村垣 友絵(左) 
調理プログラム開発担当 / 渡部 史織(右)

新しい調理家電を購入したとき、「こんなことができるんだ」と発見やワクワクを引き出してくれるレシピ。じつは、商品開発においても重要な要素となっています。象印では、商品開発の一部門として、レシピ開発を専門とするチームが存在。ひとつひとつの商品特徴にあったレシピを考えるだけでなく、めざす仕上がりに到達するよう、調理プログラム(温度・時間設定)の開発にも活躍しています。シンプルなレシピに秘められた膨大な試作やこだわりについて、担当者2人にお話を伺いました。

STORY.

商品の魅力を引き出すレシピの役割

サクッふわっとしたトーストが焼ける「オーブントースター」や、複数枚のプレートでレパートリーが広がる「ホットプレート」など。象印の調理家電はどれも、オリジナルの特徴を備えています。それらの持ち味を最大限に活かし、お客さまに「この商品を選んで良かった」と満足していただけるレシピを提供するのが私たちの仕事です。とくに新規商品の場合は、レシピ開発だけではなく、「安全においしくつくれるか」「この調理プログラムで問題ないか」といった検証まで行います。
企画や設計の担当者は、これまでにない新しい機能の開発に力を注いでくれますが、私たちはその機能を使ってお客さまにおいしい、便利と喜んでもらえるレシピ開発に取組み、日々の食卓にお届けできるようにすることを目指しています。

何をつくる? 象印の新しいオーブンレンジ

たとえば、2022年に発売されたオーブンレンジ「EVERINO(エブリノ)」は、長年培ってきた温度コントロール技術を活用した独自機能がポイント。その魅力をどなたにもわかりやすく実感してもらえるよう、ワンタッチで調理できる自動メニューを充実させることになりました。
また、象印初の赤外線センサーを扱う商品でもあるので、その特性を徹底的に調査して、最適な調理プログラムを検証。他社製品のレシピも試作したうえで、すでに世の中にあるオーブンレンジと比較しても遜色なく、それ以上に便利さやおいしさを実感していただける、象印ならではのレシピ開発をすすめていきました。

ハンバーグの試作、100回以上

焼く、煮る、蒸すなど…調理のあらゆる要素を備えた「EVERINO(エブリノ)」は、つくれるレシピも多種多様。初代モデルから30種類以上の自動メニューを搭載しています。そのなかでも独自機能「レジグリ」調理(レンジからグリルへの自動切り換え)の定番として、仕上がりの完成度を追求したのが「ハンバーグ」です。外はしっかり旨みを閉じ込め、中はふっくらと。これをボタンひとつでつくれるプログラムを構築するため、基本の4人前ハンバーグを焼くこと100回以上。
何が原因かをつきとめて次の試作に生かすために、条件が変わらないよう、具材の配合やタネの形を均一に保ちながら、1回焼くたびにハンバーグ表面の焼け具合や内部の温度、肉汁の状態などを細かくチェックして試食、を繰り返します。他の社員やモニターの意見も取り入れつつ、最後は“象印の味”を支えてきた自分たちの感覚を信じて、「だれもが楽しくおいしくつくれる」自動メニューとレシピを完成させました。

  • ▲ 基本となるハンバーグ試作中の様子

  • ▲ ハンバーグ内部の温度・状態なども細かくチェック

取扱説明書にも使いやすさを追求

ところで、新しく調理家電を購入された方は、どこでレシピをチェックしているでしょうか。象印では「取扱説明書」に付属する「お料理ノート」としてご紹介しています。じつはこのトリセツの内容を検討・調整するのも、私たちの仕事のひとつ。調理家電の取扱いは、「どう料理するか」というレシピに直結しているからです。
「EVERINO(エブリノ)」では、このトリセツの構成やレシピの書き方も、わかりやすさ、つくりやすさを徹底的に検証。「だれにでもカンタンで、作ってみたくなる」ものになるよう心がけています。このようなひとつひとつへのこだわりが、お客さまの安心や使いやすさにつながると考えています。

「つくる楽しさ」をつくりつづけたい

商品が発売になった後も、レシピの開発はつづきます。取扱説明書に載せているのは、身近な食材を使ったシンプルなレシピが中心。なので、新しく追加するWEBレシピでは、レギュラーメニューにないようなトレンドを取り入れた味や材料、多国籍メニューなど、掲載する場所に応じてラインアップに工夫を凝らしています。
こうした多彩なレシピのなかには、料理研究家の方から提案されるものもあります。そのひとつひとつについて「商品の特性にマッチしているか」「安全性に問題がないか」などをチェックするのも私たちの役割。さまざまなメニューを検証するなかで、自分たちにない発想や商品の使い方を教われます。「この手があったか」「それ、やってみたい」と私たちが思うように、お客さまにも「EVERINO(エブリノ)」で料理をつくるときのワクワクと、うまくできあがったうれしさを末長く感じていただきたいです。

  • ▲ お料理ノートに掲載の「ビーフカレー」

  • ▲ 料理研究家・山本ゆりさん考案の「コチュジャン不要!揚げずにヤムニョムチキン」

おいしさも、あんしんも、象印らしさ

調理するための商品ですから、「おいしさ」にこだわるのは当然のこと。けれど、私たちが同じぐらい大切にしているのが「安心」と「安全」です。商品の基本的な品質や安全性はもちろん、お客さまの使用環境まで細かく考慮します。社内からも「徹底しすぎでは」と驚かれるほどですが、ひとつでも気になることは見過ごさないよう心がけています。
私たちがつくっているのは、単なるレシピではなく、象印商品の一部。どなたにでも気軽に、楽しく使っていただけることが何よりの目標です。おかげさまで「EVERINO(エブリノ)」は幅広いお客さまから好評をいただき、スタッフ一同ホッとしています。みなさまが安心しておいしく調理できた体験を通して、「これを買ってよかった」「つぎも象印にしよう」と思っていただけること、それが私たちにとって最高の“できあがり”です。

SECRET STORY.

象印ものづくりの
「ここだけの話」

村垣 友絵

「とにかく真面目、だからこそ、お互いに厳しい意見も気兼ねなく言いあえる “風通しの良さ”が気持ちいいです」

村垣 友絵/レシピ開発担当

渡部 史織

「入社3年目にして、先輩たちの“味に対する厳しさ”を、少しずつ理解できるようになりました。もっと精進します!」

渡部 史織/調理プログラム開発担当

所属部署・内容は取材当時(2023年10月)のものです。