「見知らぬ人の食卓にお邪魔することは、その国の歴史や文化のさらに深層に触れられます。伝統的な料理を自分流にアレンジしている人もいて、その人自身の人生に触れることができる。とてもパーソナルな体験でした」。そんな文化や人に思いがけず出会うことが、旅の醍醐味だと語る。「食卓には噓がないですよね。おいしいものに理由はいらない。とても素直で絶対的なところがどの場所でも共通している価値観だと思います」

　山本さんが代表を務める〈KitchHike〉は料理をつくる人と食べる人を繫ぐWEBサービス。コロナの影響で食を取り巻く環境も変化するなか、現在はオンラインでのイベント中心にシフトし、さまざまなかたちで食べることの価値を提供している。仕事に加え自身のライフスタイルにも変化があったという。「妻が妊娠してから、毎日の夕飯の支度は僕の担当です。今は2歳の娘の世話をしながらなので、凝った献立ではなく『早く・楽しく・おいしい』料理が中心です」。山本家の定番メニューはサムギョプサル。妻のヒョンスクさんのルーツ・韓国の料理であり、簡単かつ野菜もたっぷり摂れる。象印『STAN.』シリーズのホットプレートでお肉を豪快に焼いて、ハサミで一口サイズに切っていく。「このホットプレートは焦げつきにくいのでとても重宝しています。お肉から出る脂も拭き取りやすく、洗いやすいので後片づけもシンプルです」

　さらにいいところは、料理をしながら食卓を囲めることだという。「食材を切ったり焼いたりするところを娘に見せられますし、何より楽しいですよね」。小さな子どもがいる場面や大勢で使うアイテムだからこそ、熱いプレートにうっかり手が触れにくい設計など安全面にも配慮されているのが嬉しい。象印の製品には生活者の視点がしっかりと生きている。
　さまざまな国籍、性別、文化をもつ人びとと食卓をともにしてきた山本さんが意識するのは、誰とどんなふうに食べるかということ。「“おいしいものを食べる”と“おいしく食べる”のもつ価値は全然違います。家族や仲間、あるいは新しい出会いのなかで会話を楽しみながら食べると何倍もおいしく感じますよね。非日常の贅沢な料理ではなく、毎日のごはんを充実させることが暮らしを豊かにすることだと思います」。ホットプレートを大切な人たちと囲む風景は、“おいしく食べる”の理想形だ。

　一児の父となり、未来のことについて考える機会が増えた。仕事でも次の世代が暮らしやすい社会をつくる責任を意識するようになったのだとか。「食で繫がる社会へのアプローチが次の世代のためになればいいなと。先のわからない未来でも、ワクワクを追い求めていくことが旅ですよね。娘には好奇心と探究心を忘れないように育ってほしいと思っています」

　これから先の未来で、よりよく生きるために山本さんは遠くよりも深くを目指していきたいと話す。「物理的に遠い場所に行くことばかりが価値ではないと思っています。近くの場所でも深い交流ができればそれは立派な旅」。視点を変えれば、異国の料理にチャレンジしたり、その料理を大切な人と楽しむひとときも身近な旅のひとつ。遠くへ行けなくても、ホットプレートから食卓へワクワクが広がっていく。