ZOJIRUSHI

世界中がときめくおにぎり、みんなと一緒につくりました。

「万博おにぎり」

新事業開発室 / 坂本 滉太(左) 
新事業開発室長 / 岩本 雄平(右)

象印が「大阪・関西万博」に出店して、当社最上位モデルの炊飯ジャー「炎舞炊き」で炊き上げたごはんでつくるおにぎりを販売する。そんなニュースが発表されたのは、2023年秋のことでした。以来、「ONIGIRI WOW!(オニギリ・ワウ!)」というプロジェクトのもと、国内外のさまざまな方と協力して、「万博おにぎり」の具材を探しながらイベントや情報発信をしていくこと約1年。多くの出会いを通してプロジェクトへの想いを深めてきた、メインメンバー2人の声をお届けします。

STORY.

なぜ象印が万博でおにぎりを?

これまでも象印は、「おいしいごはん」に携わる企業として「ごはんで笑顔を増やしたい」「日本のごはん文化を守りたい」と考え、炊飯ジャーを販売するだけではなく、「象印食堂」「象印銀白弁当」「象印銀白おにぎり」といった飲食事業にも取り組んできました。その中でめざしていることのひとつが、「世界中に日本のごはん文化を広める」こと。海外からのお客さまが多く集まる万博で、おにぎり屋さんを出店するというのは、私たちにとってはごく自然なチャレンジでした。
目標は、ただ万博会場でおにぎりを販売するだけではありません。おにぎりを通じて「ごはんに合う日本の食材・料理を知ってもらう」ことや、「ごはんが世界の料理にも合うと知ってもらう」ことをめざして、「万博おにぎり」のプロジェクトに取り組んでいます。

みんなでつくるほど面白くなる

最初は「万博会場でおにぎりを販売する」こと以外、ほぼ白紙の状態からのスタートでした。けれど、「おにぎりは、いろんな人とつくるのが面白い」という確信だけはありました。以前、私たち新事業開発室のいるシェアオフィスでいろんな入所者さんのおすすめ具材を握るおにぎりのイベントを開いたところ、想定以上の盛り上がりで。だれにとっても身近なおにぎりという存在のポテンシャルを感じていました。
そんな時に、淡路島の地域おこし協力隊の方から、「淡路島の魅力を発信するおにぎりイベントを開催したい」という相談があり、トライしてみることに。そうしたらおにぎりを食べる人はもちろん、食材を届けてくれた方々も喜んでくれる素敵なイベントになりました。これに手ごたえを感じて、ほかにも、全国各地で万博を盛り上げるイベント「EXPO酒場」に出店するなど、新しいつながりを育みながら、ご当地おにぎりの具材探しをはじめていきました。「共創」は、万博が掲げるテーマのひとつですが、まさに私たちの「万博おにぎり」づくりにぴったりの合言葉でもあったんです。

  • ▲ EXPO酒場和歌山店

  • ▲ EXPO酒場松原店

おにぎりのご縁に導かれて

不思議なことに、ひとつのつながりが生まれると、それをきっかけに次々とご縁がつながっていきました。EXPO酒場で和歌山産の南高梅を使ったおにぎりを提供していたら、来場されていた大阪・松原市の副市長から声がかかり、地元名物の河内鴨でおにぎりをつくることに。まさに“おむすびころりん”といった感じで、プロジェクトがどんどん面白い方へと転がっていきました。
こうした地域の方々とのやりとりで何よりも強く感じたのは、みなさんの特産物に対する愛情と誇りです。ひとつひとつの食材に、中途半端な知識や技術で向き合ってはいけない。調理法にこだわり、できるだけ地元の食材を使うことにこだわって、地域の魅力発信につながるおにぎりをつくりあげていこう。そう、決意を新たにしました。

▲ 青森でのワークショップの様子

全国各地の知られざる魅力も発信

おにぎりが結んでくれた縁で、さまざまな地域のおにぎりを開発できたものの、日本全国を探索するにはまったく時間が足りません。そこで新たに仲間となってもらったのが、これまで47都道府県をめぐり、地域食を知り尽くしてきた「旅するおむすび屋」の菅本香菜さんです。いっしょに日本各地6エリアをめぐり、地域のみなさんと力を合わせて、万博会場に並ぶ「日本のおにぎり」の具材を開発していくことになりました。
おかげで各地の魅力ある食材に出会えて、2024年8月時点で東北・関東・北陸・近畿はクリア。大変だったけれど楽しかった茨城でのレンコン堀りや、朝焼けがきれいだった富山での白えび漁など…。現地の食にまつわる私たちの取材映像をまとめて、万博の店頭で放映する予定です。ご当地のおにぎりをほおばりながら、それぞれの土地の隠れた魅力まで堪能していただこうと思っているので、ご期待ください。

▲ 富山での白えび漁を取材

学生さんや、世界の方とも共創

さらに、私たちのつながりは日本国内だけでなく世界へ。海外の方に「ごはんのおいしさ」を伝えるには、その国の方にとって身近な料理をおにぎりの具材にして「食べてみようかな」と思ってもらうのがいい、と考えたからです。実際、私たちも海外の料理をおかずに、おいしくごはんを食べているので。そこで、おにぎりに合う海外の料理をいろいろと調べていくうちに、すでに万博に向けて「世界のおにぎり」づくりを進めている産学連携の活動を発見。せっかくなのでこれからの活動に向けてご一緒できないかという旨を打診したところ、すぐに快いお返事をいただき共創することになりました。3者コラボレーションのイベントでは、学生さんたちの自由な発想に感心させられ、大いに刺激を受けました。
また、つくるからにはその国の方にも認めてもらいたい、と各国の領事館や政府機関にお願いして、事前に試食してもらうことに。イギリスおにぎりの具材として考えたフィッシュ&チップスには調味料にモルトビネガーを使うのが一般的であることや、スイスおにぎりの具材として考えたチーズフォンデュではスイス産チーズのブレンドにこだわりがあるなど、ネイティブの方ならではのアドバイスをいただき、いっそう本格的な逸品に仕上げられました。万博会場で国内外のお客さまに味わってもらうのが楽しみです。

▲ 「大阪産(もん)マルシェ Road to EXPO 2025」でおにぎりを販売

万博からはじまる、次の旅立ち

来年春には万博会場でおにぎりの販売を開始。限られた時間の中で取り組まなければならないこのプロジェクト。プレッシャーもありますが、それでも純粋に「楽しい!」と思えるのは、だれとでも自由にコラボできて、おいしい気持ちでつながれる、「おにぎり」のチカラ。つまりは「ごはんの包容力」だとあらためて実感しています。
いま、私たちにできるのは、すべての方に感謝を込めて、驚きと喜びが詰まったWOW!な万博おにぎりを完成させること。ひとりでも多くの人に食べてもらい、「現地に行ってみたい」と感じてもらうことが、協力してくださったみなさんへの精一杯の恩返しだと思うから。もちろん万博が終わっても、私たちの旅はつづきます。おいしい日本のごはんが、世界の当たり前になる日まで。今回のプロジェクトでもらったたくさんのつながりを携えて、また次のスタートを切りたいと思います。

SECRET STORY.

象印新事業開発室の
「ここだけの話」

坂本滉太

「私たちの活動を知ると、大抵の方が驚かれます。“ものづくりの象印”のイメージを活かしつつ、その先にも取り組む姿勢を、もっと世の中に広めたいです」

坂本 滉太 / 新事業開発室

岩本雄平

「新しい試みは必ず次につながる。僭越ながら、私たちのチャレンジが象印ブランド全体の可能性を広げると考えて、これからも挑みつづけます」

岩本 雄平 / 新事業開発室長

所属部署・内容は取材当時(2024年8月)のものです。