ZOJIRUSHI

お料理好きにも、おまかせ派にも、長く愛される調理なべ。

「ホーロー電気調理なべ」

設計開発担当 / 仁木 聡太(左)
商品企画担当 / 三嶋 一徳(右)

象印が前モデルの電気調理なべを発売してから3年以上。好評を得ていた「使いやすさ」をさらに高めるため、さまざまな方向から市場の調査をつづけてきました。そして見えてきたのは、これまでの電気調理なべになかった新しい考え方と可能性。もっと幅広いお客さまに、もっと自由に料理を楽しんでもらえるように。象印初のアプリ立ち上げを含め、新商品の開発に挑んだメンバー2人の声をお届けします。

STORY.

すべてのお客さまの役に立ちたくて

まず私たちが知りたかったのは、世の中に数多くある電気調理なべが、本当に利用者のニーズを満たしているのかということ。そこで、さまざまな製品のユーザーを対象に、家庭での電気調理なべの使用状況について細かなヒアリングを行いました。すると、「決まった料理にしか使っていない」「思ったより出番が少ない」という声が予想以上に多く聞こえてきたのです。
もちろん、なかには「すっかりライフスタイルの一部になっている」という愛用者もたくさんおられます。ただ、すべての人が毎日活用しきれているわけではないのも事実。せっかく買っていただいたのに、という気持ちとともに、「これまで自分たちつくり手が踏み込めていなかった、もう一歩深いニーズがあるのでは?」という考えが湧きおこりました。

ほったらかし、だけじゃない調理へ

そもそも電気調理なべとは、「ほったらかし」で料理が完成する、おまかせできる点が大きな魅力。けれど見方を変えると、使う人が自分なりのこだわりやアレンジを加えづらいツールともいえます。これまでユーザーにとってのメリットだと思われてきたこの点が、逆に商品を使うモチベーションを下げているのかもしれない、と考えたのです。
そこで今回の新商品は、忙しいときは「ほったらかし」にできるメリットをそのままに、こだわりたいときには「ひと手間かけた」おいしさを追求できる機能をプラス。さらに、IoT技術を駆使した専用アプリを採用することで、献立の提案から毎日の料理づくりをしっかりサポートできるように開発を進めていきました。

「焼く」ひと手間がおいしさに

前モデルからおいしさにこだわっていた象印の電気調理なべには、他とは違う大きな特徴があります。それは、熱が均一に伝わりやすいホーローなべを採用しているということ。今回はそのなべを、ガス火だけでなくIHでも直接加熱できる仕様へと変更。これによって実現したのが、食材をなべで炒めてからそのまま本体にセットして自動調理する「焼き煮込み」コースです。
炒めるひと手間がかかるものの、香ばしさやうまみは格段にアップ。さらに、焼くとき、煮るとき、それぞれの段階で入れる食材・調味料をわけることで、よりいっそう素材の味を引き出せるレシピをつくりあげました。もちろん、直前まで火にかけていたなべをセットしても大丈夫なように、本体の一部に耐熱素材を採用するといった対策も万全にしています。

  • ▲ 炒めるひと手間でおいしさが格段にアップ

  • ▲ なべで食材を炒めてから本体にセットして自動調理する「焼き煮込み」コース

ルウの老舗をうならせたカレーレシピ

「焼き煮込み」コースのイチオシレシピは、ハウス食品さんと共同開発した「コクうまビーフカレー」です。おいしいカレーのつくり方について相談にのってもらったところ、そのポイントである「材料を炒めてから煮込む」工程が今回の商品にぴったりだと気づいて、「ぜひ、ハウス食品さんのルウを使った看板レシピをいっしょにつくりたい」と、こちらからお願いしたのです。
目標にしたのは、ルウのパッケージ裏面に書かれた“作り方”どおりにつくったときのおいしさ。ハウス食品さんに監修していただきながら、加熱温度や時間といった調理フローを細かく調整。数えきれないほどの試作と試食を繰り返したおかげで、「これならどんな人でも、ルウのおいしさを充分に引き出したカレーがつくれる」と、ハウス食品さんも太鼓判を押すレシピを完成させることができました。

完全オリジナルの「象印アプリ」

こうした本体やレシピの開発に加えて、それらをよりいっそう自在に使いこなすための専用アプリづくりも、今回の大きなチャレンジのひとつでした。電気ポットで家族を見守る「みまもりほっとライン」でIoTサービスの先駆けとなった象印ですが、じつは、アプリ対応の調理家電はこれが初めて。他にはない「象印らしさ」を表現するため、いちから独自のアプリをつくることにしたのです。
つくり手の自分たちが使ってみて、「これは便利」と実感できるものをめざす。そんな利用者目線にこだわった「象印アプリ」は、Bluetoothでカンタンに本体と連携。まるでカウンセラーのように、料理のジャンルや今の気分からカードを選ぶことで、条件にあったレシピ提案をしてくれます。このアプリ開発を通して、「料理に楽しさを加えられる」という新たな手応えをつかめました。

毎日の料理づくりの、新しい相棒へ

商品に内蔵される自動調理レシピは、ずらり150種類。加えて「象印アプリ」にも50種類が入っており、こちらはどんどん増えていく予定です。ちなみに、「多いのはうれしいけど、どう選べばいいのか」と思っている方もご安心を。使いたい食材、摂りたい栄養素、そのときの気分などにあわせて、ぴったりのレシピをアプリが見つけてくれるので、悩む時間もショートカットできます。
「今日、なにつくろうか?」の相談から、こだわり料理の完成まで。私たちの新しい電気調理なべとアプリは、料理好きの人、忙しい人、すべての人にとって「使いたい」「手放せない」存在になると自負しています。カンタンさだけじゃないひと手間も、マンネリじゃない未知のレシピとの出会いも。どんどん広がっていく自由なおいしさの世界を、どうぞ、新しい相棒といっしょに楽しんでください。

SECRET STORY.

象印ものづくりの
「ここだけの話」

三嶋一徳

「“おいしい!”と感じるから、“また、つくろう”と思ってもらえる。そんな風に末長く使い続けていただけたら最高です」

三嶋 一徳 / 商品企画担当

仁木聡太

「アプリに力を入れつつ、紙のレシピブックも見やすく華やかに。スマホを使わない方にもしっかり向き合うのが、象印らしさです」

仁木 聡太 / 設計開発担当

※所属部署・内容は取材当時(2025年1月)のものです。