
品質、それは、お客さまとの信頼関係
象印のものづくりの原点はマホービン。熱いお湯を入れるからこそ、倒れてもこぼれにくい「転倒湯もれ防止構造」を他社に先駆けて電気ポットや電気ケトルに採用するなど、独自の安全基準にこだわってきました。
こうした「事故を未然に防ぐ」つまり「何も起こさない」ための品質は、取り立てて評価されるものではありません。けれど象印の社内には、この“目に見えない価値”を何よりも重視する意識が根づいています。なぜなら、私たちにとって品質とは、一般的に満たすべき要件ではなく、「象印なら安心」と思ってくださるお客さまとの信頼関係そのもの。お客さまの信頼の強さに比例して、品質を高めつづける必要があるので、「他社と同じレベルならばいい」「法的規格を満たせばいい」というわけにはいかないのです。

一般の規格を超える“象基準”とは
象印の品質に対する考え方をカタチにしたもの、それが、あらゆる製品カテゴリごとに設けられた自主規格“象基準”です。お客さまの生活スタイルは人それぞれに違うため、そのなかで製品がどのように使われるか、一概には分かりません。だからこそ私たちは、「もし、お客さまが製品をこう扱ったら」と、さまざまなケースを想像したうえで、耐久性や安全性を検証しています。「たとえ間違った使われ方をしても、決してお客さまのせいにはしない」。この考え方が、一般的な業界基準を上回る厳しい自主規格の設定につながっています。結果、設けられたチェック項目は、ひとつの機種だけで300以上に及ぶこともあります。
いかなる状況でも安全を守り、すべての方に満足と安心を感じていただけるように。そんな強い想いが、私たちの“象基準”に込められているのです。
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▲ 炊飯ジャーのフタ開閉試験
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▲ ステンレスボトルのフタ開閉試験
人力での検証と“死に様”へのこだわり
自ら課した“象基準”を守るため、象印では多様な手法を組み合わせ、膨大なテストを行っています。たとえば、よくフタを開け閉めする炊飯ジャーは、ロボットを使って、10万回以上ものフタ開閉試験を実施。その一方、あえて非効率な「人の手による検証」を併用することで、わずかな「きしみ音」や「スイッチの重さ」といった機械では測れない違和感にも気を配っています。
さらに、ただ長く快適に使えるかを確かめるだけでなく、壊れるまで試験を繰り返し、「万が一壊れたときに利用者に危険がないか」といった“死に様”まで調べ尽くすのが、“象基準”ならではのこだわり。こうしたテストすべてに合格し、基準をクリアしたものだけが、象印の製品として世に出ていくことになるのです。
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▲ お客様目線での使用性評価
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▲ オーブンレンジの電波漏れ確認
すべては、“当たり前”を守るため
象印の品質管理に携わるのは、一部の担当者だけではありません。不具合につながる情報については、部署の垣根を越えた「横ぐし会議」で全社的に共有。万一のトラブル発生時にも、お客さまや修理部門の声をすみやかに現場に伝え、いち早く対応できる体制を整えています。また、半年に一回行われる「全バラ確認」では、出荷前の完成品を全パーツに分解し、部品の仕様や組み立て方の適正さにも目を光らせています。
ここまで品質を徹底するには、多くの労力と時間がかかります。それでも実現できているのは、携わる全員が“象基準”の大切さを理解しているから。たとえ“目に見えない価値”だとしても、それが日々の安心感につながれば何より。そうやって、お客さまの日常生活に深く溶け込むことこそが、私たちの製品における究極の目標だと捉えています。

安全について経済産業省から受賞
また、こうした象印の取り組みは、直接のユーザー以外からも評価を受けています。2024年より2年連続で経済産業省の「PSアワード(製品安全対策優良企業表彰)」優良賞を受賞。その選出理由は、厳しい品質試験をはじめ、品質・安全を確保する組織的な体制、消費者の声を製品の改善や開発に生かす仕組みなど。「これまで自分たちの取り組んできたことが評価された」と嬉しく感じています。
また、賞の審査員である専門家との意見交換を通して、「品質」と「安全」についての考え方が、自身のなかでより明確になりました。その思考を反映することで、品質面から見ても、安全面から見ても、「絶対に期待を裏切らない」象印ブランドを築きたいと考えています。
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▲「PSアワード」ロゴマーク
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▲ 令和7年度 製品安全対策優良企業表彰 表彰式
明日も、新しい安心をつくる
象印の製品が進化していくのと同じように、私たちの品質管理も日々向上をめざしています。たとえば、“象基準”を定期的にブラッシュアップしたり、外部の資格試験を受けることで担当者の専門知識を高めたり。そうした日々の試行錯誤があるからこそ、新製品に対しても、これまでにない確かな安全基準をつくりだせているのです。
また、製品の「お手入れしやすさ」や「使いやすさ」にこだわるのも安全のための大切なポイント。お手入れ不足による劣化や故障、誤操作による事故のリスクを防ぎ、長く安心して使ってもらえるように。これからも、象印の全員が心と力を合わせ、よりよい製品と安心をお届けしていけるように。目には見えなくても大切な“品質を守る”という使命を、担いつづけていきます。



象印 品質管理の
「ここだけの話」
「じつは、私を含めた品質管理の主要リーダー全員が、自身が設計を担当した製品の重大な不具合などを若い頃に経験。人一倍、品質の大切さを知るメンバーだと自負しています。」
村垣 雅人 / 品質情報室長
※所属部署・内容は取材当時(2026年6月)のものです。